美女が好き!その弐 美・少女が好き
なんで素直に「美少女が好き」じゃないかというと、「夜想」が新装刊とやらで『yaso夜想―特集『少女』Filles』を発行したからである。
新旧の表紙を並べるとちょっとばかし感慨深いもんがあるようなないような。
でもって新版の方で目を引いたのが若島正「『ロリータ』を読む」。旧版の方が「アリス」を全面に押し出していたんで、これで魔少女、妖少女の2トップが揃った形になったわけだ。
そんでその「『ロリータ』を読む」で思わず笑ったのが
若島さんは詰将棋の作家として知られている。一方、ナボコフはチェス・プロブレムの作家であった。その数学的・ゲーム的な美学がいかに作品に反映しているを語られた
の「数学的」で。ご存知のようにルイス・キャロルことチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンは数学教師だったわけで、少女愛の両巨頭が揃いも揃ってというのが、である。
それはそうと日本での最強ロリータが『下妻物語』なら最強アリスである花本はぐみの作者羽海野チカが次に選んだ題材が将棋というのも……。
遠くで霧笛をききながら
いや、べつにアリス・クーパーが怪獣が好きなんて話ではない、また間違ってもアリス・ジャパンとMUTEKIが(略)。
ある種の少女が持つ攻撃性がどっかモンスターっぽい、というハナシ。ジョン・テニエルが描いたアリスが発端となり、ディズニー映画が決定打となったイメージのアリスは金髪なんんだけど、実際のアリス・リデルは暗い髪の毛の色を携えている。そんでもって写真に写っているその表情はなんだか不機嫌そうだ。それはまるで雑誌「H」が「美少女はホラーからやってくる」とはしゃいだころのクリスティーナ・リッチ@アダムスファミリーだとか、近頃だと48グループの異端児(でも実は人情深い)木下百花みたいで、それはそれでぐっと来るものはあるんだけど、テニエルだとかディズニーだとかが示した方向性はその凶暴性や攻撃性をきれーにコーティングしたからこそ浦安なんかでも子供が楽しくいっしょに写真に収まることができるようになったわけで。
でも、案外アリス。
Lorina Go Home
「世界中のロリータファン、Kawaiiモノが大好きな人達にむけた海外向けセレクトショップ」というLorina Liddellのショップ名の由来は「Lorina Liddellは「不思議の国のアリス」のモデルとなったAlice Liddellの実在のお姉さんの名前」なんだそうだ。アリスのお姉さんがロリーナってのが出来すぎっぽくあるが「l」と「r」の違いだけでなく。「Lorina」はおそらくLaurenceが変化した名前で、「Lolita」はDoloresの愛称系*1なんでまったく別モンなのである。ちなみにロリータに関しては小説の冒頭にその呼び名に関する一節があって、
朝、4フィート10インチの背丈で靴下を片方だけはくとロー、ただのロー。スラックス姿ならローラ。学校ではドリー。署名欄の点線上だとドロレス。しかし、私の腕の中ではいつもロリータだった。(『ロリータ』若島正約 強調 僕)
ここだけでもこの名前がこの後どんだけやらしいイメージが定着しまくってしまうことになったに違いないんだけど、ローラって子にロリータって呼んでいいんだろうか。
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不思議の国の“アリス”―ルイス・キャロルとふたりのアリス (求龍堂グラフィックス)
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美女が好き!そのいち ヨコモジの魔性の女
ちょっと前に日経新聞の最終面に「妖しの美女」ってな週2くらいでの10回連載があってて、新聞をかたつけている時にその1回めを偶然見てしまったもんで、なんだか妙に気になってしまい、ふだんはそんなことぜったいしないのにスクラップなんかしてしまった(そもそもいつもなら日経の紙面なんかちゃんと見ることなんてない)。
そんで、7回目くらいに"これ一冊にまとまってんじゃないの?"という思いが浮かんで、コラムの筆者名で検索したら
魔性の女挿絵集 ---大正〜昭和初期の文学に登場した妖艶な悪女たち (らんぷの本)
- 作者: 中村圭子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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副題の「大正〜昭和初期の文学に登場した妖艶な悪女たち」で一発で解るように、大日本帝国が破滅に向かってだらだらと歩みだしていった時期の小説等々の挿絵の中から「魔性の女」を選び抜いたものである。ひとくちに「悪女」といっても徳川の世以前からの伝統的「毒婦」に加えて、西洋から輸入された「宿命の女=femme fatal」やら「妖婦=vamp」まで各種揃えての紹介である。
さて、「ヴァンプ」の代表格として紹介されているのが『知人の愛』のナオミである。マリと並んで瞬く間に日本の女性名として馴染んでしまい、いまではどこか古風の趣さえ備えているナオミであるが、当時は舶来バリバリな名前だったのであろう。まあおそらく「直美」や「奈緒美」「尚実」等々と漢字で綴りやすいということもあって定着していったのであろうが、よりによって「妖婦」の名前を思わないでもない。確かにもともと由来は聖書の登場人物からなんだろうけど、ウィキペディアの日本語版には項目がないところ*1をみると出発点はこの「ナオミ」なのであろう。聖書由来だとしても出発点が森茉莉で聖母マリアを想起しやすいマリとの違いを考えると、昔の親も案外ゲスだったりDQNだったりと思わないでもない。基本男名前の「Luka」を自分の娘につけた理由の半分は…と同じようなもんである、と思う。
それはそうと「ルカ」もそうだけど「リオン」も男名前だよな*2。
閑話休題(つかいかたあってる?)。ヴァンプの代表ナオミがそうなのに反して、ファム・ファタールの方のカルメンだとかサロメの方を自分の娘に名づける男は少なかったのは単に漢字の収まりの問題だと思うことは置いといて、「異国のファム・ファタール」と歌われた高畠華宵の紹介で一番紙幅が咲かれているのが、カルメンでも、サロメでも、ローレライでさえなく、楊貴妃なのは興味深いし、そんな家庭どころか国も傾けそうな美女を得意とする画家を「少女雑誌」の表紙に起用する過激さは「ギャルズライフ」や「ティーズロード」の比じゃないと思うね。
んで、その点、日本だって負けてないわけで、橘小夢が描く伝承文学の美女は、その手の魔性が平安の昔からこの国の男を魅了し惑わしてきたことを物語っている。
いや、ほんと僕は美女が好きだ。
てこって適当なペースで「美女」というか「美人」を集めた本を読んで、ていうか眺めていこうかなと思っております。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1947/11/12
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読本>>>大百科、またはその逆
空想美少女読本―モニター画面で出会った、禁断の初恋女性100人 (別冊宝島 (349))
空想美少女大百科―電脳萌え萌え美少女大集合! (別冊宝島 (421))
二十世紀の終わりに2年という短い(と言っていい思う)間に発売された別冊宝島「空想美少女」シリーズの2冊、『349 空想美少女読本』と『空想美少女大百科』。
ブックオフやほんだらけには必ずっと言っていいほど並んでおる(時には複数冊)『読本』に比べて『大百科』はあまり見かけない。確かにアニメだけでなく特撮やゲームまでの空想ヒロイン−メーテル、ナウシカ、クラリスから春麗、峰不二子、アンヌ隊員までお腹いっぱい集めた第1弾の方が収録されているキャラクターの知名度という点ではかなり上だから、たぶんムック売上もそこそこ勝っていたに違いない。でも、第2弾『大百科』を買った人々にとってはおそらく優劣つけがたい愛情の深度があったんじゃないかな、と。だから、いまだに手放さない人はおんなじくらいか、もしくは『大百科』の方が多いのかもしれない。店頭やネットで見かける差はその差なんじゃないのかな、なんて。
ちなみに画報シリーズの
スーパーヒロイン画報―国産スーパーヒロイン30年のあゆみ (B Media Books Special)
- 作者: スタジオ・ハード
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 1998/08/01
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石ノ森ヒロインレクシコン1966‐2006―石ノ森ヒロイン四十年の歩み
- 作者: ブレインナビ
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買わなくちゃいけないんだ
ふらりと寄ったブックオフで半額セールをやっていた。探していた新書がなかったから、いまやコンビニムックに占領されているムックコーナーへ。
んで、なんとも言えない雰囲気を醸し出している別冊宝島2冊手に取る。
一冊目は持ってたと思うんだけどキレイだし安いからいっっかの『14 道具としての英語 会話編』と、本から不思議な気を発している『462 子供は変わった!』
でもって『14 会話編』、実は持っていなかったし、表紙イラストが原田治-ポニーテールのくるっがひじょうに"らしい"味わいの一枚。
片方の『子供は変わった!』の表紙は松本大洋ので、うってかわってヒリヒリしたテイストのもの…でも、僕が手にとった時に感じた「?」はこのイラストでも、ましてやそのテーマや内容ではなくって、
1976年(昭和51年)4月から始まったシリーズで、『宝島』の別冊として創刊された『全都市カタログ』からはじまる。(略)以前はA5サイズであったが、463号からB5(時にはA4)サイズと大きくなりカラーページが多く掲載されカジュアル性を重視するようになった
別冊宝島 - Wikipedia
の、A4版の最後の号(ひとまず)だったからなのである。いやー久しぶりに本の方から「お前が買えよ!」と語りかけられたような気がしたもんで…。
全都市カタログ (別冊 宝島)
道具としての英語 会話編 (別冊宝島 14)
子どもは変わった!―「オトナ」化する子どもと「コドモ」化する大人 (別冊宝島 (462))
なんで『怪獣使いと少年』は中古価格が高騰することがあるの?
あえて、帰ってきたウルトラマンの傑作回「怪獣使いと少年」のことはおいといて…
今アマゾンで単行本が¥2700〜、文庫本がが¥445〜、んでヤフオクで単行本が¥1500と¥3000、でもって日本の古本屋でも単行本が¥1080で文庫が¥900と落ち着いている、切通理作著『怪獣使いと少年』はときおりとんでもない高値-それこそ3万円とかが付いていることがある。
この本は
テープ数十本分にもなる膨大なインタビューを、僕はどこに発表するともなく書きためるしかなかった。<ウルトラマン>などという、名前は有名でも論ずる価値があるなんてことはないものの、それもシナリオ作家のことを持ち込んだとしても相手にしてくれる出版社があるとは思えなかった
(単行本 あとがき P317)
と著者が書いてるように、発表当時は本人も需要があると思えなかった内容のもんである。
だがしかし、『映画宝島 異人たちのハリウッド』に「ウルトラマンと在日朝鮮人」を発表すると大反響を呼び*1、その勢いでまるまる一冊「怪獣」がテーマとなった中で「ウルトラマンにとって「正義」とは何か?」が掲載、その次の号では連載コラム*2に「怪獣使いと少年」のタイトルがつき、そこでこの本の発売が予告されていて、そんなこんなが一冊にまとまることになって晴れて世にでたわけである。
んで、当時当然買った僕なんだけど、二度と行きたくもないあそこかあそこに置いてきてきてしまい、それからはこの本に興味を失っていた。ところがあれやこれやで数年前にほしくなったんだけど、たまたまなのか僕が検索したら買うのをためらうような値段のものしかなくって二の足を踏んでいたんだけども…現実の新古書店・古書店では殆ど見なかったし、見つけたら見つけで似たような価格だったんでしようがないなぁなんて諦めていたところ、つい最近お手頃なもんをポチることができた。けっこうかかったぞ、たぶん。
そう、怪獣・特撮の研究所としての重要性は間違いなしの『怪獣使いと少年』だから、必要に迫られる人や読みたい衝動に駆られるがいることでだろう。そんな欲求をレーダーだか触覚で感じ取った売主が価格を押し上げたとしてもしかたがないと思う。
でも、だったらなんで復刊しないだろ。リクエストもでてないし。
怪獣使いと少年―ウルトラマンの作家たち 金城哲夫・佐々木守・上原正三・市川森一
- 作者: 切通理作
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- 作者: 切通理作
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異人たちのハリウッド―「民族」というキーワードで映画の見方が変わる! (別冊宝島―映画宝島)
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- 作者: 石井慎二
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珠理奈という人生〜僕とフランキーとときどきアイドル。
「AKB映像センター」や「女子校警察」*1で48グループのコや「Sound Room」でそのほかのアイドルのコたちと接してるリリー・フランキーは世間の人の目にはどう映ってるのだろう…これらの番組が一般にはほとんど知られていないという答えはナシにして。
ひとまず「おでんくん」だとか「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」で彼を知ったというような人には、彼が
- 作者: 東京公司
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そんなこんなが頭に浮かんだもんだから[リリー・フランキー アイドル]で検索して
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「これって松井珠理奈やん!」
なんて口に出してしまった。そして、このムックの発行が97年3月より前だったら徳川家光ばりのナチュラル・ボーン・アイドルやん!とか思いつつ、奥付をみたら98年1月だったんで、まあそこまでは、となんとなく納得したりして。
それはそうと「【松井珠理奈】「真希波マリ風の紅白じゅりなさん」イラスト/sonic [pixiv]」で
紅白の日も目の症状が全快には至らなかったので赤眼鏡でご参加されまして
その風貌がエヴァの真希波マリっぽいとちょっとした話題になってたので
どうしても描いてみたくて描いてしまいました
なんていうどこかフィクショナルな存在の珠理奈さん〜こう呼ぶと『仮面ノリダー』時の満里奈さんみたい*2〜なんだから、あの程度で「殻を破った」とか言ってほしくないもんである。
最初の立体イラストレーション
80年代後半からしばらく間の別冊宝島の表紙といえば野崎一人の立体イラストレーションであった。
ずいぶん前に「105円ではムツカシイ? - BEAT-MANgus(椣平夢若食い散らかし記)」なんてのを書いた時に手に入れた
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- 作者: 副島隆彦
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をやっとこさ手に入れた。彼の別冊宝島デビュー、最初の立体イラスト表紙の号である。
手にとって眺めること5分。
…………これを機に英語の勉強でも始めるか…なんて思うはずもなく一軍本棚のスペースをつくるべくあーだこーだ考える僕だった。