美女が好き!そのいち ヨコモジの魔性の女

ちょっと前に日経新聞の最終面に「妖しの美女」ってな週2くらいでの10回連載があってて、新聞をかたつけている時にその1回めを偶然見てしまったもんで、なんだか妙に気になってしまい、ふだんはそんなことぜったいしないのにスクラップなんかしてしまった(そもそもいつもなら日経の紙面なんかちゃんと見ることなんてない)。
そんで、7回目くらいに"これ一冊にまとまってんじゃないの?"という思いが浮かんで、コラムの筆者名で検索したら

が出てきたんで買ってきた。


副題の「大正〜昭和初期の文学に登場した妖艶な悪女たち」で一発で解るように、大日本帝国が破滅に向かってだらだらと歩みだしていった時期の小説等々の挿絵の中から「魔性の女」を選び抜いたものである。ひとくちに「悪女」といっても徳川の世以前からの伝統的「毒婦」に加えて、西洋から輸入された「宿命の女=femme fatal」やら「妖婦=vamp」まで各種揃えての紹介である。


さて、「ヴァンプ」の代表格として紹介されているのが『知人の愛』のナオミである。マリと並んで瞬く間に日本の女性名として馴染んでしまい、いまではどこか古風の趣さえ備えているナオミであるが、当時は舶来バリバリな名前だったのであろう。まあおそらく「直美」や「奈緒美」「尚実」等々と漢字で綴りやすいということもあって定着していったのであろうが、よりによって「妖婦」の名前を思わないでもない。確かにもともと由来は聖書の登場人物からなんだろうけど、ウィキペディアの日本語版には項目がないところ*1をみると出発点はこの「ナオミ」なのであろう。聖書由来だとしても出発点が森茉莉聖母マリアを想起しやすいマリとの違いを考えると、昔の親も案外ゲスだったりDQNだったりと思わないでもない。基本男名前の「Luka」を自分の娘につけた理由の半分は…と同じようなもんである、と思う。


それはそうと「ルカ」もそうだけど「リオン」も男名前だよな*2


閑話休題(つかいかたあってる?)。ヴァンプの代表ナオミがそうなのに反して、ファム・ファタールの方のカルメンだとかサロメの方を自分の娘に名づける男は少なかったのは単に漢字の収まりの問題だと思うことは置いといて、「異国のファム・ファタール」と歌われた高畠華宵の紹介で一番紙幅が咲かれているのが、カルメンでも、サロメでも、ローレライでさえなく、楊貴妃なのは興味深いし、そんな家庭どころか国も傾けそうな美女を得意とする画家を「少女雑誌」の表紙に起用する過激さは「ギャルズライフ」や「ティーズロード」の比じゃないと思うね。


んで、その点、日本だって負けてないわけで、橘小夢が描く伝承文学の美女は、その手の魔性が平安の昔からこの国の男を魅了し惑わしてきたことを物語っている。
いや、ほんと僕は美女が好きだ。



てこって適当なペースで「美女」というか「美人」を集めた本を読んで、ていうか眺めていこうかなと思っております。



痴人の愛 (新潮文庫)

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