ヒトイチバイ

「ひといちばい」って言葉。まだまだ意味は通じるし、スポーツ選手のインタビュー等で見たり聞いたりすることは少なくはないんだが、どこか現在の日本語とのズレを感じる。
まずは「ひと」。これは「ひとの褌で相撲をとる」とか「情はひとの為ならず」と同様に「他人」という意味でだろう。でも「他人事」を「たにんごと」と読むひとが増えている*1し、「ヒトゲノム」なんて言葉の普及で「ヒト=human being」って方の意味が勢いをさらに増してるような気がするので、かなり日常で「ヒト」を「他人」と言う意味で使うことは少なくなっていくだろう。
で、「いちばい」の方はというと、学校教育での算数・数学的思考の蔓延により、ほとんどの人が2の「一倍」は2だと考えているだろう。が、「ひといちばい」という時の「いちばい」を2に掛けると4になる。文字通り一回倍にするという意味だった。
つまり「ひといちばい」とは現代語に置き換えると「タニン(の)ニバイ」となるわけで、この言葉を字義通りに受け取る時に僕らはいちいち頭の中で「翻訳」してることになる。メンドクサイ。
人一倍怠け者*2の僕にはこんなことでも面倒なのが、ただこんな言葉が無くなってしまうのもさみしいような気がする。

*1:変換は「ひとごと」で一発目

*2:使い方間違ってる!