『愛情物語』視れないんなら読んでみる
「MOVIE GATE×MovieWalker」で角川時代の原田知世4作品が配信されている。
http://www.movie-gate.jp/tv/mw/special/02-000016.php
渡辺典子云々に涙しながらも作品を眺める・・・無い。
『¤î¨ê』が無い。その理由はこれが「角川春樹監督作品」だからなんだと思う。だって
その際のグランプリは渡辺典子。原田は特別賞だった。とはいえ、あくまでも真田広之の相手役を選ぶ映画「伊賀忍法帖」(特集「読んでから見るか、見てから読むか」参照)のオーディションだったため、1967年生まれで、当時まだ15歳だった彼女が若すぎたゆえのこと。その証拠に、角川は渡辺典子ではなく原田に、薬師丸ひろ子の後を追わせる。
の「角川」ってハルキのことやのにそう書かないし。
ちなみにこれにはさらにハナシがあって、
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角川 実はお姉さんの方が目当てだったんだ。
大林 ハハハ
角川 明らかにお姉さんの方が美人だった
大林 そうだそうですね。
角川 それでオーディションに呼んだ。(略)年齢から言って当然落とすわね。
(169頁)
で、知世ちゃんにお姉さんのことを尋ねたら「女優になるつもりはない」と断られた。でもオーディションで実際に知世ちゃんを見たら、これは凄い!ものになる!ってことで急遽特別賞をでっち上げたとのことらしい。つまり、応募写真に貴和子が写ってなければ原田知世は世に出てないかもしれないのである*1。
そんなこんなで気になる映画『愛情物語』近所のレンタルショップの棚にもなかったし、DVD買うガッツも財力ないんで手持ちのもんを読んでみることにした。
まずは「原作」を読む。
赤川次郎の原作は『野性時代』83年7月号〜12月号に連載され(連載時のタイトルは『カーテンコール』)てすぐさまカドカワノベルズの形で11月25日に出版されたもの。映画の公開が翌年の7月なので、ハルキのこんなん書いてくれ!に、次郎がよかよ!ってなLAレイカーズばりの速攻もん。
まあ内容は典子さんミステリー三部作ともちょっと違ったドタバタクライム珍道中ってな感じ。んで、主人公とその母以外の登場人物が揃いも揃ってゴウツクでしかもトンマなんで、ひとまずこのまんま映画化したらとてもじゃないけど『愛情物語』にはならない。肝腎の篠崎もえらくショボクレてて、渡瀬恒彦というより酒井敏也(現在の)方がぴったりだし。
おそらくハルキはそのあたりのことは百も承知で、赤川次郎原作という熨斗がついて、主人公がバレリーナを目指す16歳の出生に秘密のある女の子ってくらいが同じで良いとでも思って、連載中には既に並行して脚本つくりやってたと思われる。
そんで『シナリオ愛情物語』を読む前にパンフを見る
パンフの表紙は知世ちゃんの↑のようなワンショット。角川三人娘主演映画は基本的にワンショットなんでいたって普通。
で、表紙をめくると監督のことば。この映画の三つの挑戦が綴られていて、いっこめが「ミュージカル映画」それもPV*2感覚の。これはハルキが『フラッシュダンス』を気に入ってることが影響している。上掲の対談で映画自体も褒めてるんだけど、それ以上に「サントラが売れてる」ことを讃えている。典子さん主演『晴れ、ときどき殺人』でも「マ〜ニアック」のモロパクBGMを宇崎竜童に書かせているので本気で好きだったんだろう。
ふたつめが「知世を女優にする」こと。これってたぶん薬師丸ひろ子の『ねらわれた学園』の次の『セーラー服と機関銃』の相米慎二に対してのライバル心だろう。
第3は「人間ドラマを演出する」こと。
前作『汚れた英雄』ではあえて人物までオブジェとしてとらえたが、この『愛情物語』では人の心の絆をドラマとして映像化した
とのこと。これが別に当たり前じゃん!といえないのだ。というのもストーリー、キャストの紹介の後に掲載されてるスポニチ文化社会部長(当時)の解説というか賛辞の中で
角川監督は、かってプロデュースした映画『人間の証明』は、自分の生みの母へのレクイエムであると語ったが、この『愛情物語』は実際に若くして自らの命を断った自分の妹に捧げる映画だと明言している
なんてのがあるから。
『シナリオ愛情物語』のその部分を読む。
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で、その男篠崎が「妹を自殺で失くしている」という設定。んで、旅館の一室にお泊りすることになった美帆が篠崎のハンカチを洗おうとして、彼の服から一葉の写真を落としてしまう。
美帆「ン?」
拾って、見る…18歳の制服を着た少女が、笑っている。
美帆「妹さんて、この人…」
裏を返して、見る・・・『妹・真理 享年18歳』の文字が、目を射る。
この写真がハルキの妹真理さんの実際の写真だったらしい。*4うーーん、ここにきてここだけでも画面で確認したっくなってきた。
というのも"この真理さんと原田貴和子が似てんじゃないのか"という疑念がわいてきたからなんだけど、単に「美人」ということだけでここまで彼女に拘るのかなと思ってしまう。この美帆のミュージカルスターを目指すバレリーナって設定も、知世ちゃんが小さいころバレエを習っていたってことだけでなく、原田貴和子が女優になるのを断った理由が「プリマを目指してる」*5だったからなんじゃないのかぁ。
どっかにフィルムストーリーブックかVHS落ちてないかなぁ。
愛情物語 (角川文庫―カドカワフィルムストーリー (5877))
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準グランプリの津田ゆかりさん - BEAT-MANgus(椣平夢若食い散らかし記)につづく。
参考:岩上安身「角川家の一族」http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/past.htm#kado