ハルキに撮っちゃYZRもパッソルも似たようなもん
この前見た『汚れた英雄』のレースシーンは緊迫感が全然感じられなかった。じゃあ脚本時点ではどーなってたんだろうと
- 作者: 丸山昇一,大薮春彦
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1982/11
- メディア: 文庫
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をめくる。
少しはロードレースのことを説明する台詞があってもいいんじゃと思ったんだけど、案の定
雨宮「(緒方に)やばいな。大木にやられるよ」
緒方「(うなずいて)昨日は三味線よ」
の後の
雨宮「あっちはアルミフレーム、こっちは鉄」
緒方「シリンダーの向きも全然違うしな」
雨宮「YAMAHAもやってくれるよ」
あずさ「でもマシーンさえ潰れなきゃ晶夫がぶっちぎって勝つわ」
なんてもんをカット。それからレース後にメディアに質問攻めにあうシーンがあったんだけど、これはシーンごとまるまるカット。もうワークスマシーンとの差を分からせる気がハルキにないのが分かる。
んじゃ、台詞じゃなくて映像でってことかというとそうでもなくて、丸山昇一はちゃんと
コーナリングで晶夫の卓抜したテクニックが発揮され、大木を引き離すが、直線ですぐに背後に迫ってくる。マシーンの性能がちがうのだ。
と書いてるんだけど、ハルキは無視。これって東宝・松竹・東映に立ち向かうハルキ自身の志や意気を表すこの映画の重要な要素なはずなんだけどなー。
あと、クラッシュシーンも本来鹿島の強引ともいえうアグレッシブな走りが誘発することになってたんだけど映像ではそんなことお構いなしなんで、その後の伊部のアナウンスが全然生きてきてない。
もう、誰か「欧米の巨匠はこんなシーンはB班に撮らせちゃうもんですよ」ってハルキをおだててでも画をおさえなきゃいけなかっただろうに。
まあ、パンフ表2の広告が「パッソル?」だというところを見ると、そんなことハルキに撮っちゃたいしたこっちゃなかったんだろうけど。