あまりに非ハルキ映画のシナリオ文庫

正気のハルキはすごい。特に大作の陰でPG的なローバジェットの作品をつくり続けたハルキはほんとにすごい。
が、いかんせん監督ハルキはそうではない。『汚れた英雄』で本物のサーキットで大がかりな撮影を試みるも、YAMAHAとタイアップをくんだためHONDA車が全く走ってないなんて気の抜けたことかましたり、『愛情物語』では、自身の妹への贖罪意識を描くためにアメリカからミュージカル俳優を大勢呼んできたりとプロデューサーとしても誤った選択してしまう。


そんなハルキ監督作品とは全然違う非職業映画監督作品のシナリオ文庫が

である。
スタッフ表には異業種監督にありがちな監督補などおらず、非常にタイトなスタッフ組みをしてる(演出部三人、制作部二人)し、スターが「特別出演」だの「友情出演」だので華を添えるなんてこともしておらず、「普通に」低予算の映画を創ろうとした意気込みが感じられる。おそらく当時の監督ハルキには出来ない芸当である。


でも、そんなこんなの意気込みも、芥川賞作家の書いたシナリオなら売れるだろうと出版し、ちゃっかりハルキ映画の宣伝に利用する、

そして、当然『シナリオ里見八犬伝』でお返しに宣伝してあげるなんてことはしないハルキはやっぱりすごいんである。