またまたこんな優作ジャケ
何度目だ「野獣死すべし」!ってことで
手に入れたのは80年11月発行で、時期的には松田優作主演のハルキ映画が公開されたばっかのころなんで、角川文庫は当然優作ジャケなんだけど、たぶん当時に買った前(の前の前・・・)の持ち主は大薮春彦は読みたいんだけど角川文庫を買うと角川の宣伝にのせられたみたいでさ・・・なんて自意識の持ち主だったと推測される。
なんてヨタはさておき、今回非常に良いものをゲット。
笠井潔による、監督・吉田喜重/主演・松田優作、田中裕子の映画『嵐が丘』*1のノベライズ。
あきらかに帯びありきのジャケワークで
帯を外すと若干マのヌけた感が。
ちなみに帯の後ろ側は
ハルキ映画『ぼくらの七日間戦争』『花のあすか組』の広告。
さらに織り込みチラシが新雑誌「PEACH」の創刊広告なんだけど
この時期の浅野温子は「あぶない刑事」「パパはニュースキャスター」を経て、ダブル浅野「抱きしめたい」でカッチョヨク生きたい女性のカリスマとなるころなんで、『スロブギ』『汚れた英雄』『化石の荒野』と立て続けにハルキ映画に出演したハルキ女優だったことなどすでに過去の過去という空気が流れているとこが、そこがまた80年代ってことか。
80年代的といえば、この映画はエミリ・ブロンテ『嵐が丘』を直接的に着想を得たものでなく、ジョルジュ・バタイユ『エミリ・ブロンテ論』にインスパイアされてのことらしく、だから、この小説は笠井いわく
エミリの小説作品『嵐が丘』、バタイユによる『嵐が丘』論、そして吉田氏による映画作品『嵐が丘』。これら重層する「嵐が丘」にまつわる物語(解釈)の全体を、あらためて「読む」ことにより書かれた
ものだという。こんな回りくどいもんを西武グループが製作するってのが、もう80年代の極致という気がする。