正雄の皮をかぶった優作でもたりないかも

汚れた英雄』を2巻まで読んだ僕の北野晶夫感である。
いや、ほんと実写化するんなら草刈正雄松田優作と宮下洋と火野正平を足したような人間を必要とするんではないか、と。

んで、ふと思ったんだけど、『汚れた英雄』が草刈正雄角川映画化が決まった時優作はどー思ったんだろう。『映画秘宝男泣きTVランド』で坂田健が『大都会PARTII』における優作のワルノリをいくつか上げてる中で

「霊感聖少女」という回。トク*1は後輩刑事の活躍を目の当たりにして思わずつぶやく。
「なんちゅう華麗なる刑事や」
(当時『大都会PARTII』と並んで人気のあった刑事ドラマに、草刈正雄の『華麗なる刑事』があった。優作は後の『探偵物語』や『殺人遊戯』でも草刈ネタを良く使った。当時の彼は草刈正雄を意識していたのか?)

と書いているんだけど、上記の『越境者松田優作』にも大下英司『蘇る松田優作』にも、特に草刈正雄を意識してような記述はない。どっちなんだろう。


ちなみに『汚れた英雄』が公開された年に優作は映画に一本も出演していない。前年の12月に最初の妻で『越境者松田優作』の著者松田美智子と離婚しており、その影響もあったんだろうけど、「アクション映画」からフェイドアウトしたい時期(そもそも優作は自分をアクション俳優だとは思ってないんだけど)でもあっただろうから、仮にオファーがあったとしても受けてはないはずである*2。そうであって、自分が『蘇る金狼』『野獣死すべし』と演じてきた大薮春彦原作作品を、ライバルもしくは単純に敵と意識してる草刈正雄が演じることにはなにかしらの思いがあったかもしれない。読書家の優作だからもしかしたら原作は読んでて、拳法の達人という設定に「極真2段(ギミック)の血も騒いだかもしれないではないか。


まあ出来上がったもんみりゃどーでも良かったに違いないけど。

*1:優作演じる徳吉功のニックネーム

*2:復活の日』の配収が『蘇る金狼』と『野獣死すべし』併せても上ってなことを考えたら、初めから正雄だったはず