ザ・先輩刑事

ロボット刑事』を読んで、あらためて石森章太郎先生の偉大さを心の底から感じている。


何が偉大かって、そりゃ芝大蔵刑事である。


・・・あんたと同期のおれが まだ 平刑事だから・・・か
あんたが もうすぐ 長官のイスにもすわろうと
いうのに まだ おれが
ロボット刑事 第1巻 (サンワイドコミックス)』12頁

長官間近の人間と同期の平刑事っていうからは、おそらくキャリアのはぐれ者っていうことである。つうことは「新宿鮫」の鮫島や「相棒」の杉下右京の先輩である。
また


『どう』126頁

男手ひとつで娘二人を育ててるっていのは「はぐれ刑事純情派」の安浦吉之助の先輩である。


さらにテレビドラマ『ロボット刑事K』で柴刑事を演じた高品格は、この役の好評をもって、至高の刑事ドラマシリーズ「大都会」の丸山米三刑事として迎えられ、作品に奥行きを加えることになる。「特捜最前線」の大滝秀治の船村一平と双璧ともいえるベテラン刑事(先輩刑事)の鑑であったといっていいだろう。


この日記的に高品格といえば

角川映画麻雀放浪記』である(併映は『いつか誰かが殺される』)。

高品演じる出目徳は主人公坊や哲(真田広之)に麻雀の積込み等の技とともにその激しい生き様を伝えた。
その教えは真田広之が『新宿鮫眠らない街〜』で「鮫」を演じる際に血肉となって現れたことを想像するのに難くない。

もうひとつ個人的に忘れらない高品格といえば松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』の怪盗黒猫である。この時高品が演じた黒猫の魂は真田広之を通じて

小泉今日子に伝染し、その後彼女が念願だった大島弓子作品の主演を演じる機会を『グーグーだって猫である』で与えた。

高品がもし黒猫を演じていなければ、いや、それ以前に柴刑事を演じていなければ、小泉が『グーグー』に主演することもなく、僕がそれを機に(正確にいうと映画『グーグー』公開にあわせた吉田アミさんの文章をきっかけに)「たそがれは逢魔の時間」を5通りも集めるなんてことにはならなかっただろう。

「ならなかった」といえば、「相棒」の再放送を月曜昼のKBCと夜のBS朝日の二回も視聴したり、「新宿鮫」をこの一ヶ月で一気にVIIまで読むなんてことにもならなかった。

すべては石森先生のお導きである。ただ、惜しむらくは柴刑事には「ママフォース」「花の里」「さくら」などのいきつけがないことである。