幕末ダイアラー

ま、ブロガーでもいいんだろうけど。

幕末維新の民衆世界 (岩波新書)

幕末維新の民衆世界 (岩波新書)

幕末維新期の庶民(公家、武家等を除いた人々)の日記を読み込み、歴史教科書的な幕末像に疑問符を投げかける新書。
さて、この本は、豪農、商人、名主、医者等々の日記を読み解いて

庶民はわけもなくいきり立ったり、むやみやたらに逃げまわったりする存在だった

では「なかった」ことを論じていくんだけど、登場する日記は今のブログといっしょでそれぞれにタイトルがついていて、単純に「○○日記」というのが多いんだけど、「日乗」、「陰陽記」、「珍問実記」、「反正紀略」等の工夫をこらしたタイトルをつけてるのも多い。なんかこれも今のブログといっしょな気がして面白い。
考えてみれば、みんながみんな「ペリー来航」に一気に「国家の危機」を感じるわけもないってなことは至極当たり前のことなんだろうけど、小学校以来の教科書やテレビの歴史番組ですりこまれら目の中の鱗はかなり厚くて頑丈だったりするんだなということを気づかせてくれたし、

百姓の江戸時代 (ちくま新書)

百姓の江戸時代 (ちくま新書)

もそうだったんだけど、江戸時代の庶民ってのは、僕らが考えているよりずっと心の持ちようは豊かで自律的だっただなぁということも分らせてくれる。


ときおり「江戸時代に戻れ!」なんてスローガンが現れることがあるが、支配構造や技術段階の話はおいといて、そんな心の持ちように関しては「あり」なのかもしんない、なんて。