松本零士先生はたぶんKARAではハラ推し!に違いない

で、昨日の続き。
ひとまず「『わが青春のマリアンヌ』メーテルは森と湖のまぼろしの美女」の

松本零士独特の憂いを帯びた美女の原型もマリアンヌだそうだ

メーテルMetelは『青い鳥』のメーテルリンクと、ラテン語のMeterから名づけたと云ってる

はけっこうダウト。
ちょっとその辺のことをインタビューからいくつか拾ってみよう。


まずは、「メーテルの原型」について。
映画『わが青春のアルカディア』劇場用パンフレットではこう。

松本氏の青春時代、ハーロックというキャラクターを創造したころに読んだドイツの青春小説『悩ましきアルカディア』(ペーター・ド・メンデルスゾーン著)の影響があります。この小説は1955年にフランスの映画監督ジュリアン・ディヴィヴィエによって映画化され、日本では「わが青春のマリアンヌ」という題名で封切られました。18歳の時この映画を観た松本零士が自分の理想としているものを描きたいという気持ちと、青春時代の思い出をオーバーラップさせて、『わが青春のアルカディア』という題名が誕生しました。

『わが青春のマリアンヌ』の日本初公開は1956年4月なので1938年生の松本が「18歳の時に観た」は合致する。
んで、『銀河鉄道999 永遠の謎メーテル (別冊宝島 1564 カルチャー&スポーツ)』でのロングインタビューでのやりとりはこう。

松本 (略)1955年のフランス映画『わが青春のマリアンヌ』に出てくるマリアンヌ・ホルトという女性、あの顔なんかは私の絵とよく似た雰囲気があるんですね。だから、思春期には、あの映画は何回も見ました。
―てっきりマリアンヌが美しいから、そこにご自身の絵を投影していったのかと思いました。
松本 いや、逆なんです。ただそっくりな人が出てきて、それを再発見してしまったんです。
(77〜78P)

また、『完全版 銀河鉄道999 PERFECT BOOK』のインタビューではこうで

松本 (略)メーテルの顔は高校時代に描いてるんですよ。一枚だけの絵ですが、「機械化美人の生涯」というタイトルを付けていた

それから『松本零士画集―星の海、美の遺伝子』でのインタビューではこう。

それからメーテルですが、彼女は私が小学生の頃に憧れていた女性がモデルです。黒衣を着た、限りなく優しい女性でした。


ネットで検索してみると、松本先生ってばいうことがけっこうころころ変わっているようなんだけど、この4つを文章を合わせて読んでつき合わせてみると、松本零士が映画『わが青春のマリアンヌ』が好きだというのは本当なのだが、メーテル(に代表される松本女性キャラ)の原型は既に高校時代に出来ていて、マリアンヌ・ホルトはそのイメージに合致したということではないか、と。


次にメーテルの名前に関しての「メーテルリンク」にかんしては、上掲『999パーフェクトブック』で

木原 (略)メーテルリンクから取ったのではないかと思っていたんです。
松本 これは全くの偶然。ほとんど意識してなかったな。今聞いてなるほどメーテルにリンクか(笑)

と明確に否定しているし、上掲『メーテルの謎』でも

言葉の意味だけを言えば、メーテルというのは母ですね。マザーの語源メタから始まる言葉ですから

と言ってメーテルリンクのことは触れていない。。たぶんTVアニメ版主題歌の歌詞*1の「青い小鳥に〜」があまりに印象的なゆえにそういうことも考えがちなのだが、作詞者は橋本淳氏であって、松本先生本人じゃないから関係ないということも、上記『パーフェクトブック』のインタビューの続きの部分からも確認できる。そもそも『トラウマ映画館』の文中でもフォーカスが当たってるのは「母」なのだから『青い鳥』云々は削ってもいいと思うんだけど。


もしかしたら松本先生の頭にはパラレル・ワールドというかセパレート・ウェイズがあって、そっちでは堂々とアリアンヌ・ホルトがモデルなんて云ってたりしたりするかもしれんが・・・。

ク・ハラじゃないか?

で、その各種インタビューを読んでたら、松本零士のヒロイン像の造形にとっても重要な女性(の写真)が登場する。その人は三瀬(楠本)高子*2さんという方で、その母は

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で大活躍の楠本イネ(高子の出生にまつまるあれこれも壮絶)。てことは祖父はドイツ人医師シーボルトってことで、松本先生ったらつくづくドイツ系推しなんだなぁと一瞬思ったんだけど、写真を確認してみると宮沢りえ以上に和勝ちな方だった(マリアンヌ・ホルトとはあんまり似てない)。金髪どころか茶髪でもなさそうだし。
そんで、月曜日に買った『AKB48推し!』で似てる人探して、今『999』実写化するんなら××ちゃんだ!なんて書こうと思っていたんだけど、近い人すら全然いなくて、じゃあそうだ。ク・ハラだ!って『画集』に掲載されてる写真見ながら叫んでたら、海苔ちゃんに聞こえたようで、近寄ってきて「似とらん」と一発で否定されてしまった。
だから、タイトルは(仮)だったりする。