"子供は少なく産みましょう"

古本市で『実話雑誌』51年1月号を。
「読めば儲かる」と銘打たれた三大特集は

天皇も飯が食えぬ!
運は一生に三度ある
百貨店は女体市場

なんだけど、例によってまだ読んでない。そんでパラパラめくって気になったのが「製薬会社」の広告の多さ。薬品名と製薬会社を並べてみると

「アスキス」ナガ製薬
「サンプーン」日本衛材
「メサドリン」須田製薬
エストラヂン」山之内製薬
オリザニンレッド」三共製薬
「ビキニ」上野製薬
「ビタプレックス」田辺製薬

よほどの薬痛でもなければ、製品名で何の薬かは分らないものが並んでるなかで、「オリレッド」と略せば戦隊モノのリーダー格みたいな「オリザニンレッド」だけがビタミン剤だと分る。ちなみに「ビキニ」は「ニキビ」の逆さ読みの「ニキビ治療薬」で、かの有名なビキニ環礁とも水着とも一切関係ない。
んで、今回一番笑ったのが(笑っちゃいかんのかもしれんが)、日本衛材(現在のエーザイ)の避妊薬サンプーンの広告*1。で、そのものすげーく目に付くキャッチコピーが

子供は少なく産みましょう

である。10年前に閣議決定された政策のスローガン「産めよ増やせよ」に真っ向からカウンターを食らわすいかにも時代的なコピー。そんで「計画産児」をしている家庭は文化的生活を営むことができるし、子供の教育も行き届くのに対し、「成り行き主義」の多産家庭は「自分らの趣味はおろか子供たちの教育も並大抵ではな」くなるだろうってな追い込みかけるようなボディブローも秀逸。「土地が狭くて人の多い現状では」ってことばにも一気に「国土」が狭くなった当時の実感が偲ばれるような。
ちなみに「文化的な」A家庭(4つ違いの2児家庭)では二股ソケットでラジオの電源を確保しているようである。