てこって「尼判官魔境裁き」がすごい!!!

てこって陣出達朗「尼判官魔境裁き」である。
舞台は「縁切寺」として名高い鎌倉東慶寺。場所を分りやすくいうと『ラヴァーズ・キス』『海街diary』の朋章が通う高校の近くで、『すずちゃんの鎌倉さんぽ』でいったら100頁だ。
主人公は、将軍家斉の娘でワケあって東慶寺の庵主なった智月尼(母はお久米の方)。彼女が側用人の五郎左衛門と霞と梢という二人の侍女、それから謎の人物凡さんの協力で難事件に挑むというもの。
史実的には家斉の側室にお久米の方というのも、その娘の智姫というのも確認されていないし、「縁切り」の方法もこの時期は既に「寺法離縁」から「内済離縁」に移行してたりと非常に怪しい。そもそも徳川を強調するなら、千姫由来といえでも平氏である北条貞時開基の東慶寺よりも、開基が徳川義季で、開山がその女浄念尼である満徳寺の方がなんて屁理屈をすこーーーんと蹴飛ばすくらい智月尼・霞・梢の武器がすごいんである。まず二人の武器が

智月尼のとくいの武器は、琉球渡来のぬんちゃく。短い木と木の間に、くさりのついているあれだ。
霞のとくい技は、三節棍といって、三つに折りたたむことのできるもので、伸ばせば三尺三寸の棒となる。彼女は神道夢想流杖術の達者だから、この三節棍は、まさに鬼に金棒である

どー考えても、『燃えよドラゴン』が2年前に公開され、いまだ熱っつあつのカンフーブームのもろ影響。エンターテインメントなんてそんなもんである。で、梢の武器がトンファーやサイかと思いきや、なぜだか「打根」なのである。三人揃えるなら揃える。バラバラならバラバラとかいう下手なバランス感覚なんてもんはこの作品にはない。
そんでストーリーは「おりん」という女性が東慶寺を訪ねて「縁切」を願うことから始まるんだけど、そこで深みのある筋が展開されるとかなく、かけてもつれた謎を解くってのは一応あるんだけど、そんなことはどうでもよくって、僕が感心したのは智月尼・霞・梢の三人(特に智月尼)がやたらと衣装を着替えるところである。普段寺にいるとき、江戸に行く時、潜入する時、裁きの場といった風に、ワズカ十数頁の間にこれだけの衣装チェンジをやってるのである。これって発表された1975年より今のほうがずっと需要があると思うんだけど。


ということで、ここ最近の日記でセーラー戦士であることを誇りであることや東映出身であることを高らかにうたってる、北川景子を主人公智月尼にドーンとすえ、霞と梢を武田梨奈秋元才加が演じるドラマスペシャルなんていうのを、テレ朝・東映は熟考して、編集S氏の35年来の夢をかなえても良いんではないかとマジで思う。