『水の中の八月』の果てしなき渇き
今年も猛暑と言はれているが、1994年という年もものすごく暑くて、その上雨がほんとに降らなかったから、Wikipediaに「平成6年渇水」という項目もあるほど、渇いていた。
その極端に水の無い福岡で撮影された映画が、石井聰亙(現岳龍)監督の
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この映画地元福岡での劇場公開は初日でさえ空席が目立つ淋しいものだったにもかかわらず、IMZでの上映イベントでは立ち見が出る満員だったというあたり、この時期における(それは今も?)石井聰亙という映像作家のポジションとこの映画の不幸が見えてくるような気がする。
ひさしぶりにこの映画をDVDで見て、当時「スタジオヴォイス」あたりで「サイバーパンク博多っ子純情」と呼ばれたこの映画というのは、実は石井聰亙にとっての「千代町三部作」みたいなものが構想されており、その意味で石井版『時をかける少女』になり損ねた作品だったのではないかという気がしてきたのだ。
そう思うと開巻後しばらくしての真魚くんの部屋やその周辺のシーンが『時かけ』や『ねらわれた学園』のテイストで撮られているように見えてくる。そう撮影は『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市 BURST CITY』のではなく、高岡早紀の瑞々しい肢体をフィルムに焼き付けた『バタアシ金魚』の笠松則通だと考えれば良い。
だが、画面の小嶺麗奈はさほど魅力的でも魅惑的でもなく、アイドル映画としては明らかに失敗している。そもそもそういう風に作られてないのから!という意見もあるだろうが、ミドルティーンの少女の競技用水着をふんだんにフィーチャーしてるにもかかわらず、ここまで「萌え」を喚起しないのは、『櫻の園』以降の少女映画が松井修が言うように過剰に「アーティスティック」になって行ったとはいえ、如何なものかと思うし、それがおそらく上記の観客の動向に影響してたんだと思う。
そういえば、劇中に雑誌「ナンバー」が登場する。ちらっと映る表紙からナンバーお得意の「スポーツ美少女特集」ではないことがわかる。この年の9月には実際に「NO287 スポーツ美少女大好き!」*1が発行されているのだが、その中に小嶺麗奈演じる葉月泉の姿はない。当たり前だという人もいるだろうが、5年後の「NO475 女神たちの躍動。」の表紙は田中麗奈なのである*2。
そんでもって、主演映画『がんばっていきまっしょい』を引っさげて、田中麗奈は
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これはあまりに不当な扱いではないか、と一瞬憤りを覚えてはみたものの、すぐさま、しょんなかたい、という声が聞こえてきた。
この映画、『ウェルかめ』でくせのある研究員を演じた松尾れい子のデビュー作でもあるんで、宮沢りえ+蓮舫な彼女がこそっと出身地の佐賀訛りを披露するの確認するするだけでも見る価値あると思うけどなぁ。
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