エスパイ…Sパイ・・・Sπ

エスパイ」と書くと、小松左京のSF小説、もしくはそれをベースにした映画のこと


エスパイ (ハヤカワ文庫SF)

を思いうかべる人が多いはずである。
そんでもって、「Sパイ」と綴ると、「S級おっぱい」もしくは「Sサイズのおっぱい」、はたまた映画『エスパイ』に出演した由美かおるの現在の「シニア(senior)向けおっぱい」ということになるかもしれない。


てこって「Sπ」である。


『Sπ』石森章太郎 虫コミックス

この作品は旺文社の学年誌『中一時代』1967年4月〜8月号に連載された、主人公「πナップル部隊日本支部員」の○○ゴローが、同僚の○○ハチゴロー(通称○○パー)や○○ナナコと協力して、ロボットだけのスパイ軍団M・M(マッド・マシン)と戦うヒーローアクション。学年誌なんで当然おっぱいは出てこない(せっかくのショートカット(上の動画を参照)なのにナナコはそのような活躍をしない)。だからといって「π」に焦点をあてた知的快感が得られるわけでもない。いわゆる「石森ヒーロー」の苦悩もない。そもそもコードネームが「○○」というところが、三年前に始まった代表作『サイボーグ009』や同年連載開始の『009ノ1』に比べてどうも歯切れが悪く(開き直ればいいのに)、それがこの作品の踏ん切りの悪さを象徴してるように思える。まあ同時期に上記の2作品に加えて『幻魔大戦』なんという超絶傑作を執筆してた時期*1に、そうそうテンションの高いものばかりを求めるのはあまりに贅沢というものである。
ただ、このコミックス。「ドクターSF」をすっとばして、「Sπ」→「時間局員R」の順で読むと、一時期TVのサスペンスのものに出ずっぱりだった、内藤剛志が一週間で刑事役と犯人役とどっちかの協力者なんて役を演じてた時ような混乱を感じることが出来て、それはそれで楽しい。