あまりに不足している龍分補給のために


龍分が不足している。それに比べれば鉄分の不足などとるに足らないことなのかもしれない。そんな僕に、人々に、世界にもたらされたのが

世界ブルース・リー宣言 ?龍教聖典? (映画秘宝COLLECTION 42)

世界ブルース・リー宣言 ?龍教聖典? (映画秘宝COLLECTION 42)

である。
ひとまず、この国の龍分不足は深刻である。でなかったら傑作『燃えよドラゴン』の劇場用パンフレットに「お正月映画そのものの娯楽超大作なりと保証できる」とのことばを寄せた故梶原一騎先生原作の映画が現場がこんな異常事態になるはずはないのである。
これは闘いである。しかし、それは独立いや、孤立した闘争ではない。
例えば『ケイブンシャ ブルース・リー大百科』のカバー見開きの広告が『クラッシャージョウ大百科』なのは偶然ではない。

おそらくこの時の龍分が『クラッシャージョウ大百科』の編集・執筆に携わった町山智浩のそれ以前からの龍分を増幅させ、彼が映画秘宝編集長時代にを世に問うことになったのである。
昨日いっしょに買ってきた(昨日の日記にちょいとふれた)『戦う女たち――日本映画の女性アクション』の「志穂美悦子」を論じた章が「戦う」そして「アクション」ということを語るために、章の頭に『唐山大兄』を持ってきたことは単なる偶然でも、体裁を整えるためのものでもなく、筆者四方田犬彦の心のドラゴンが呼び出され、河(江)をわたったからである。
これは『カンフーハッスル』のヒロインが氷菓子を売っているのと同じほどの公理なのである。


もしかしたら、人はこの文章を何も「考え」ずに書いたと思うかもしれない。そして、中にはあのことばを思い出すものもいるだろう。だが、それは違う。あの言葉は(この本の中で筆者江戸木純が強調しているように)、何にも考えない(思考停止)の方便のための便利グッズではないのである。確かにこの本は不足した龍分を補うために作られている、だが、しかし、決してサプリメントだの特定保健用なんちゃらではない。取扱注意の「劇」薬である。