石黒賢こそ本郷猛を演じるべき!

藤岡弘(現弘、)でもオダギリジョーでもなく、若いころの石黒賢こそ仮面ライダー本郷猛を演じるのにぴったりな俳優はいないんじゃないだろうか。

を読んでそう思った。石黒までは行かなくても、当時の東映だったら渡瀬恒彦の方がまだ近い、というか。
TV版に慣れ親しんだ人は石黒ではあまりに青臭くて坊っちゃん過ぎないかと思うかもしれないけど、マンガ版*1は大富豪の遺児で、その莫大な遺産を対ショッカーのための研究に投げ出す*2なんていうTV版の貧乏臭っい(東映だねー)猛とは全然違う設定になっている。だからこのマンガでの立花藤兵衛は「親父ッさん」でなくって「爺や」なのだ。
青臭さに関しても、そこはそこ「石森ヒーロー」の苦悩全開で、空前のブームを巻き起こした「へんしん」*3の明快さはまったくなく、変身前の素顔に対して

…だから
本郷猛の
この顔は…
改造人間仮面
ライダーの
"仮面"に
過ぎないのだ

なんてつぶやいてしまうまでにその悩みは達していて、もしこれを子供のころに読んでたら、ライダーごっこを気軽に楽しむなんてこと絶対にできないようになったに違いないと思っていて読んでいたら、作品中にもライダーごっこの描写があって、その横には

人間はだれでも仮面を持っている
その仮面の下に真実の顔がある

と大書きしてあるのだ。変身ポーズを決める前にいちいち「ペルソナ」なんて問題に煩悶しないといけないのであるよ。いわゆる「平成ライダー」ってのがある意味原点回帰だといわれるってのはこのへんのこというのであるんだろう(猛、隼人の両方がめちゃくちゃモテるってのもあるけど)。
そんでもって改造人間の悲哀を感じてるのがライダーだけでなくって、ショッカーの「怪人」にも改造前に恋人だった二人がいて、男が倒されると女は本名を叫びながら後を追うは、ショッカーの標的が活動家だったりもするは。さらに猛は途中でキャプテン・フューチャーのサイモンと有末静の中間みたいな存在になってしまうはで、読んでる手が震えるのが1回や2回じゃないのである。仕舞いにはショッカーのクライアントのトップは佐藤栄作だし。


やっぱり本郷猛は藤岡弘を選んだあの製作体制で正解だったんだね。

*1:デビルマン」もそうで「原作」の実写化・アニメ化ではない

*2:これの前に読んだのが大島弓子『雑草物語』だったのも何かの縁

*3:最初に「変身ポーズ」したのは一文字隼人で、佐々木剛がオートバイでかっこよく変身できなかったという苦肉の策なんだけど