完全魔法少女版ハニー

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キューティーハニーF 4 (フラワーコミックス)

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描かれたジャンヌが微乳でなくてはならなかったに対して、生まれた時点で美乳(プクッとボイン)であることを宿命づけられた美少女戦士が如月ハニーである。ジャンヌの胸は慎ましげに隠されることが、ハニーの胸は大胆に露出されることが要求された。
斉藤美奈子が『紅一点論』で行ったヒロインの分類「魔法少女(女の子の国のヒロイン)/紅の戦士(男の子のヒロイン)」によれば、ドンレミ村娘ジャネットは「魔法少女」で、ジャンヌ・ラ・ピューセルとして歴史の表舞台に降り立った瞬間から「紅の戦士」となったということになるのだが、ハニーは部隊・戦隊のうちの一人ではないハニーは「紅の戦士」と言い切ることができない。そんで、そのハニー型ヒロインは強力なフォロワーが輩出せず、大きなストリームも生むことはなかった。斉藤は男の国(少年誌)で女の子のヒロインがたった一人で敵に立ち向かうというどこか納得しなかったガキが多かったからだろうという推論を立てている。1974年ころのこの国も男(の子)のケツの穴小ささを表す格好の材料なのかもしんない。僕としては、これが結局敵を倒す(実際に強い)のが早見青児ってなアイアンキング方式をとっていればどーなっていたんだろうと考えらずにはいられない。


そんでもって、その斉藤が「魔法少女/紅の戦士」を分類する重要な要素として「女友達」を挙げている。曰「紅の戦士には女友達がいない」である。この点ではは少年チャンピオン*1のハニーはたしかにそうで、

当初は重要な登場人物であったはずの寄宿舎のルームメイト夏子が途中からほとんど登場しなくなった。扶桑社版
キューティーハニー (1) (扶桑社文庫)

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だと最初からそんなもんいもしないのである。


その点ではちゃお版『キューティー・ハニーF』では夏子がフェードアウト気味になった後には、聖羅=ミスティ・ハニーが登場して、俄然「女友達」の重要度が高まっている。アニメが『美少女戦士セーラームーン』の後番組なんで当然このハニーは「女の子の国のヒロイン」なんである。これがそんなに長続きしなかったとこをみると、(少なくとも10年前には)普段着でも胸の谷間が見えるようなセクシーなヒロイン(エロカワイイ?)が少女に大きな支持を得られなかったってことにもなるだろう。案外ハニーは不遇なのである。そのくせ何回も蘇ってくるんだから非常にしぶとい。


ちなみにこのちゃお版のもう一つの新しい要素が「黄昏のプリンス」の存在。タキシード仮面的存在としておそらく立案されたこの男なのだが、その佇まいはまさに神恭一郎である。


※そういえば「女の子の国のヒロイン」が「男の子の国のヒロイン」になった稀有の存在が「スケバン刑事」シリーズである。成功の理由に、鈴木則文東映『女番長(スケバン)』だったからとか、五社英雄『鬼龍院花子の生涯』だったからとか、山田風太郎だったからという理由が挙げられるだろうが、南野陽子のシーズンから「女友達」がメインキャストになっていったのはどーいった理由なんだろうか。

※※その辺りで言えば

で1stシリーズリスペクトからか(吉澤ひとみ藤本美貴といった使える人材がいながら)女友達の存在を希薄にした深作健太
キューティーハニー [DVD]

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秋夏子に市川実日子を配しクールな女警部として活躍させた庵野秀明の違いっていうを考えるのも面白いのかもしれない。

*1:NETの土曜アニメでは二つ前放送された『デビルマン』と『ハニー』それぞれのマンガ版(≠原作)の言及され具合の差というのも考えてみても面白いかもしれない。