なんでこの写真なん？

海と毒薬 (1960年) (角川文庫)

手元にあるこの文庫、発行が86年の６月なんで、

海と毒薬 デラックス版 [DVD]

の映画ジャケでじゃないかと推測される。でもって表紙折り返しのクレジットは｢カバー撮影：蠔昭｣なんだけど、http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=17753&full=1#castでこの映画の｢スチール｣カメラマンということを確認した。
でも、なぜ文庫の表紙にこの写真使ったがすげー謎。

この｢海と毒薬｣は九州大学生体解剖事件(相川事件)を題材にした遠藤周作の小説で、本文の初めの方に

ガソリンスタンドの主人は今ごろ、白い作業着を着てトラックに油を入れているだろう。洋服屋の亭主はあの白っぽいショオウィンドオの背後でミシンをふんでいるだろう。考えてみるとあの二人は二人とも人を殺した過去を持っているのだ。私の引っ越した西松原のたった数軒の店にも私の知っただけでも二人の男が誰かを殺した経験を味わっている

あるように、この列島に｢人殺し｣がさほど珍しくないころの話なのである。

それはさておき、ネットを検索して旧ＶＨＳのジャケットを確認しても、現在のＤＶＤと同様の写真を使用しているようで、この写真を使った形跡は確認できなかった。

もうなんだか、角川文庫はこの映画を

イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験 ヘア解禁リマスター版 [DVD]

もしくは

ドグラ・マグラ [DVD]

あたりと混同させようってな腹だったんではないか。