この宮谷一彦を読め!といわれて

この前引っ張り出した『フリンジ・カルチャー―周辺的オタク文化の誕生と展開』のフリンジコミックのパート内の「肉弾マンガ、これを読め!」の「宮谷一彦プロレス地獄変』を読め!』には、こんな文がある。

宮谷の作品の中で現在も刊行されているものである『右翼』(第三書館<ママ>、フォービギナーズシリーズ)において、我々は彼の思想の一端に触れることができる

おもいっきり出版社名が違っているんだけど

右翼 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 42)

右翼 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 42)

のことである。
猪野健司氏の「あとがきにかえて」によれば、当初、この本のイラストは当時このシリーズのレギュラー画家である貝原浩氏(文中ではK氏となっておるが)に依頼したけど、本の完成が難航したことにより、宮谷に変更なったそうな。


そんで、変更したら変更したらでまた難儀なことになったみたいで

宮谷さんは苦労していた。自分で納得できるまで、物事を追究しないと承知できない性格の宮谷さんは、"神代"に遡って日本の精神史をたどったからである。当然その部分は宮谷さん自身が文をいれることになった

宮谷はイラストだけでなく第1部の文まで担当することになったそうだ。実際「儒教」「仏教」「武士道」「神道」「国学」等々が手際悪く並べてあるこの部分は、非常にまとまりが悪く概説書・入門書としての出来は良くない。
おそらく宇田川岳夫が宮谷の思想と読んだものは、ここに書かれている文そのものだけではなく、そこに至る経過も含めてのことだと思うんだけど、ねえ。