fringe juice.

こんときの三人のうちの一人、赤田祐一が発行した


クイック・ジャパン (Vol.1 No.1)

小沢健二鶴見済との対談「犬は吠えるが、自殺は増える」で

OK 『スリー・チアーズ』はいいとして、そんなレコードはなかっとと(笑)。
TW え、そう思ってるんですか
OK イヤイヤ、美しい思い出(笑)

てな扱いを受けている

three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった

three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった

の中で、僕が一番好きな曲は『前略 小沢健二様 (\800本 (1))』で

この曲は当時雑誌のインタビューで「僕たちの今後を占う曲」だとか何とか云っていた覚えがあるけど、まさにネオアコ川柳といった感じの曲

なんて評されている「さよならパステルズ・バッジ」なんだけど。その歌詞の一節に

now,let's have our fringe-hair cut
just like James Kirk did long ago
(さあ、僕らのフリンジ・ヘアを切ってしまおう
ちょうどジェイムズ・カークがずっと昔にしたように)

というのがある。フリンジヘアとは前髪パッツンみたいな感じの髪型のことで、ジェイムズ・カークとはオレンジ・ジュース*1のギタリストのことなのでミスタースポックと混同しているわけではない。

さて、「fringe」というのは「縁、周縁」といった意味の英単語なんだけど、「中心」「半周縁」「周縁」なんて概念―

「半周縁」とは「中心」に対しては「周縁」、「周縁」に対しては「中心」の二面性を持つ地域をさす。
『近代世界と民衆世界』柴田三千雄 71P

―の言葉の表面的な意味(地理的意味や従属関係その他の条件はシカトとする。そもそもその周縁は“periphery”なんていう指摘もなかったことにする)を借用したら、あん時の三人の編集者のマンガに対する立ち位置というか興味が説明できそうな気がしてきた。


「中心」近藤隆史―「半周縁」町山智浩―「周縁」赤田祐一


そんで、赤田が最も周縁の部分に興味を抱いた証拠が

の著者宇田川岳夫の起用なんじゃないだろうか。この本のまえがきのしょっぱな

本書で紹介するさまざまな表現や表現者たちは、既存の「サブカルチャー」の周辺に位置する、表現や表現者である。
それは、80年代以降、旧来の「サブカルチャー」の領域に属していた様々な文化的表徴が、ある意味「市民権」を得て日常的なものになっていく過程で、こぼれ落ちていった表現や表現たちである

を読めば、誰にでも宇田川の立ち位置は分り易いほどに分るはずで、そのあたりが『マンガ秘宝』よりもさらに周縁(周辺)に存在するマンガを掬い上げようとしたということが言えるはずだ。
だから、はてなキーワード等で「マンガ地獄変」が「秘宝」と同じストリームとして説明されていることには若干の違和を覚えないわけでもない


・・・だなんてフリンジなブログで言ってみる。

*1:ちなみに僕がブクマで使ってるアイコンはOJのシングルのジャケ