立て〜!ジャイアント・ロボット・ジェノバ

今、死力を尽くして職務や任務を全うしようとしている人の中には、さまざまな「わたくしごと」をスミに追いやってる人もいるだろうなぁ。


ガラにもなくそんなことを思ってしまったのは

応答せよ巨大ロボット、ジェノバ

応答せよ巨大ロボット、ジェノバ

を読んでしまったからだ。
この小説は作者杉作J太郎の関心事―巨大ロボットアニメ・アイドル・プロレス・東映△マーク等々が、インスタント出汁のおでんのようにひとつの鍋で煮え煮えになったみたいな超近未来戦記である。おそらく話の中心となる極秘の「民間団体」に関して、ものすごく綿密な設定を構想したとも思えない。だが、この地球を、もしくは日本を守ると重大な任務に挑む人々が思いうかべるさまざまなわたくしごな非常に深く印象に残る。
ほんの3週間前に読んでいたら、こんなこと思いもしなかっただろう。
今後したり顔で「3.11以後」なんて宣伝文句が巷に溢れるかもしれないが、おそらくこれはその最も早いブンガクサクヒンのひとつとして讃えられることに・・・はならないだろう。
だってそれがJ太郎文学((C)坪内祐三)だから。