・・・哀の嵐

てこって『変身忍者嵐サンコミックス全3巻を読む。
バー見開きの煽り文句が凄まじい。
1巻のそれは

吹けよ、嵐!叫べよ、ハヤテ!
地獄の炎をメラメラ燃やし、悪の帝国を築かんと、恐るべき魔手をのばす血車党!
(一部抜粋)

はまだ内容に即してるといえる。まあ血車党が具体的にどういう風に「悪の帝国」を築こうとしているのかはサッパリわからんけど。
2巻になると

「チャリーン!」―闇にきらめく名刀ハヤカゼ!吹けよ、嵐!正義の鉄拳うけてみよ
(同)

とどこからともなく「鉄拳」なんてもんが飛び出した。『ドラゴン怒りの鉄拳』が日本で公開されるのは、この第2巻発売の2年後だというのに!である。まあ当然ハヤテは鉄拳を食らわすことなく刀で相手を斬っていくわけで。
んで、「嵐」ではなく「ハヤテ」と書いたのは2巻の途中から「変身」しなくなるから。
だから、3巻の

嵐、見参!
森を書け、川を潜り、岩を飛び、悪の集団"血車党"を敵にハヤテの正義は爆発する

ってのも微妙。確かに「悪の計画」を打ち砕くエピソードもあるのだが、1巻収録の第3話「白狐、枯れ野を走る」を代表に倒す相手が「ワケアリ」なことが多くて、その場合はちっとも爆発なんかしてない。2巻の「菩薩の牙が、霧を割く」に至ってはなぜ斬ったのかさえ不明。
もう、なんだかハヤテが敵を求めてただただ彷徨い、出あった相手を結果的に斬ってるだけで、そこには忍法、忍術的な見せ場はほぼ無いに等しいので、当然「特撮」的爽快感は全く感じられない。そう「変身忍者」ではなく「恨心忍者」と言ったほうがふさわしいような気がしてきた。
で、さらに映画化するならパク・チャヌクあたりでカスミは林寛子によく似てきたチョン・ジヒョンで!なんて軽口さえ躊躇われるくらいに読後感の悪く、おいてけぼりの最終回が・・・。