「は行」をそれなり探してはいたけれど、僕のちょっとした「冬野物語」

岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)

岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)

に収録されてるインタビューの一つで、岡崎京子は「マンガにおける批評家不在」という話題の中で

少女マンガってすごいパワーとかあるんだけど、大人の男の人が読まないものって批評がないんだよ。

と言い放ち、「大人の男の人が読んでる」例として萩尾望都を挙げた後に

だって、私すごい好きな少女マンガ家の女の子で冬野さほっているんだけど、誰も読んでないから、誰も知らないよ。女の子のやな感じとかすごい上手なんだよ。わたしみんなに勧めてるんだけど、男の子とかみんな分からないって。まぁ「これが分かったらやだな」ってのはあるけど
フリーペーパー『PEPPER SHOP VOL.13 '94/4』岡崎京子インタビューより抜粋

冬野さほという名前を挙げている。
だからだろう。「フィールヤング」の別冊付録『岡崎京子デビュー25周年記念読本』に、冬野は

25周年 おめでとうございます。
かわいい岡崎さんのなかにある
おっきい空みたいなやさしい感じ
いつも大好きです

という短い言葉を寄せている。


2002年にそのムックが出たときにはこの「冬野さほ」という人名は、さして僕に響かなかったし、その小冊子の場合は読み飛ばしていたのだが、ちょっと前からちょっぴり気になってきて、んでもアマゾンやオークションや「日本の古本屋」で検索するまでもなく、見かけてあったら買おうというくらいの気持ちで、新古書店・古本屋の少女マンガの集英社の「は行」を気にするようにはなっていた。
んが、である。先日初めてこの人どういう人だろ?と思って検索してみたら、「冬野」は「とうの」と読むということをはじめて知る。でも、マジだったら「冬野」という漢字が目に飛び込んで着てるはずで自分の集中力や気合のなさを恥じた。でも、ヤフオクで検索すると最初の2冊はまあ大変という価格だったんで、ああおいそれと落ちてはないんだ、と思いなおした。そんでこの前の日曜日に天神に行ったついでに「まんだらけ」に行ってきたら、やっぱりその2冊はまあ大変な値段がついていたんで、お手軽価格の

ポケットの中の君 (マーガレットコミックス (2172))

ポケットの中の君 (マーガレットコミックス (2172))

だけを買ってきた。


…んでおののいておる。
いや、だって『ハチクロ』にも多大なインスピレーション与えてるやんか、これ。なんで、これを8年間も見逃しておったん?、8年前にすぐに反応しておれば、と一瞬考えたけど、まあそれはそれ、8年前にすぐに読んでもこれほど心に響きはしなかったんだろうなぁと思いなおす。
それこそ『ハチクロ』があったり、吉田アミショックの影響で大島弓子岩館真理子望月花梨を読んだ今だからこそと思うことにした。