Si-Fi太陽賊


僕の脳みそがスターボーのデビュー曲「ハートブレイク太陽族」ではなく「ステレオ太陽族」だと勝手に思い込み、「ステレオ」→「Hi-Fi」→「Si-Fi」ってことで、先日買った石森章太郎『ザ・スターボウ』KCで[一巻だけマンガ]を書こうとしていた。

が、しかし、ご存知の通り「ステレオ太陽族」はSASだったのである。

ステレオ太陽族(リマスタリング盤)

ステレオ太陽族(リマスタリング盤)

このままだと、ちーっとも駄洒落になってない。ちょっと困った。


そんでもって、まあなんというかサザンといえば海である。SFマンガで「海」と「太陽」といえば、星野之宣『海の牙』JSC収録の「太陽惑星イカルス」があったではないか。ああこれなら「Si-Fi太陽賊」にそんなに離れていてないだろう(光年単位なら)。


舞台はこの時代大気汚染に影響で太陽光が届かないのと疑似氷河期がぶつかって、「地球寒冷化」が深刻な問題になってる近未来(1987年)の地球。世界の支配体制転覆を目指す「地球解放戦線」の爆弾テロも頻発に起っていた。太陽光の安定供給のためにNASAは宇宙空間で太陽をエネルギーを集めて、レーザーで地球に照射する「イカルス計画」(国連承認済み)を実行に移す。その乗組員に選ばれたのは(たぶん日系人の)伊賀五郎中佐他2名。伊賀には圭子という美人の恋人がいたのだが、出発直前に爆弾テロで命を落とす。伊賀は恋人を失った悲しみとともに宇宙に出発する。


'75年の「週刊少年ジャンプ」に発表されたこの作品中の未来のアレコレが、'09年現在と違ってたり合ってたりってーのは個人的にはひとまずどーでもいい。
まず気になったのが伊賀の恋人圭子。

この圭子さん(髪の分け目が時代!)、どことなくいつもの星野の絵と違ってて、どこか手塚賞出身JSF*1の両輪の片方諸星大二郎っぽい表情をみせたり、妙に劇画ぽかったりする(二人並んで守谷哲巳っぽい絵もある)。

そんで、この圭子を思い浮かべながら伊賀は最後の死力を振り絞り、イカルスの危機を救うのであるが、普通こんな時には圭子さんが「がんばれ」「五郎、あなたならできる」って励ます描写がありそうなもんだけど、そこは圭子さん、というか星野先生は至ってクール。二人の愛というか伊賀の気合でそのピンチがどうにかなるなんてことはなく、別の「少し不思議」が用意されている。素晴らしい。


んで、その限界を超えた熱に耐えながらの必死の機械操作ってのは、先日読んだ手塚治虫「アバンチュール21」の耳男も同様なんだけど、この伊賀五郎はアバンチュール(2の意味)に目もくれず(まあ乗組員が男三人でそんな紙数もないんだけど)圭子さんとの純愛を胸に最期を迎えるんだった。

※これはジャンプの作品だから、正義(米帝主導の宇宙計画)vs悪(アラブゲリラの妨害)ってことになってるけど、「アバンチュール21」はその辺が単純じゃなさそーだな。

*1:ジャンプのSF