首をねらう変化球shutter

それにしても、なんでシンカーやスライダーは定着したのにスプリッターやカッターは定着しないで、スプリット・フィンガード・ファストボールだのカット・ファストボールなんて言われ続けてるんだろう。
てこって奥菜恵の"ハリウッドデビュー作"『シャッター』である。
全米初登場で3位を記録。全米で2500万$(全世界で4500万$)を稼いでるホラー。
http://www.shutter-movie.com/
映画「シャッター」オフィシャルサイト
寝違えたのか朝から首筋が痛くてしようがなかったんだが、奥菜恵がどんな風に映ってるのか楽しみなんで我慢して試写会に行った。



うーん、母親役に篠山紀信撮影の「週刊朝日」の"写真"で全国デビューし、ミノルタのTVCMで人気沸騰したという経歴を持つ、

宮崎美子先輩を起用したのは、「写真」「カメラ」が主題の映画なので納得なのだが、奥菜恵と「とっても母娘」で母・娘として共演した渡辺典子さんだったらば、『僕の彼女はサイボーグ』を退けて、僕の今年の「邦画No1」に輝いていたのに!(見る前から)とかなんとか思いながら席に着く。
タバコ吸って戻ってくると、席ぎっしり埋まってる。

そんでもって映画の中身はというと、日本に仕事で赴いた米人夫婦が災難にあうという、日本に行く前にとてつもない災難に遭うってな『クローバーフィールド』に比べりゃ若干ましとも思える話。
広告代理店国際部の翻訳係の奥菜恵がイマイチ英語上手くなかったり、嫁レイチェル・テイラーが旦那ジョシュア・ジャクソンの仕事の合間に日本の街を歩いてみたりってとこに

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を思い浮かべないわけでもないが、旦那が日本語しゃべるし、アシスタントやその元カレが(ミリオン出版あたりの編集者なのに妙に)英語ベラベラなんで意思の疎通に問題はひとまず無いんでその辺は違うのであるが、結果「トランスレーター」によって大事なものを「ロスト=失う」するんで、もしかしたらどっかに意識があったのかもしれない。
まあ、そんなこんなで広告代理店の周辺で銭稼いでる外国人なんて多かれ少なかれ日本(以外の国も)の女性の怨みを買ってるだろうから(思い切り偏見)、みんな殺されてしまえばいいんだ!!!!なんて思ってると・・・打者の手元で微妙に曲がる変化球だった。
こりゃこえーよ。


・・・で、朝から首が痛かったのはと思ったのだが、全く心当たりが無いんでやはり寝違いだと思う。

閉店ガラガラの予感も

いや、シャッターだけに。
この映画で奥菜恵の役名は「田中めぐみ」である。北京オリンピックのマラソン女子のあの結果はこの映画のおかげである・・・なんていうつもりはない。
そもそもこの奥菜恵『パ★テ★オ』の役名をそのまま芸名にしたものだから、彼女の「ハリウッドデビュー」もしくは「引退騒動後の再デビュー」作での役名が「めぐみ」であるのは象徴的といえば象徴的で、そこに彼女の意欲を感じ取ることも出来るだろう。
ただその意欲がその次に繋がるかといえばそうでもなさそうな気がする。
この映画で登場した際に、旦那ベンとの遺恨があったとは知らない嫁ジェーンは彼女を「girl少女」と呼ぶ。まあ、欧米人が見れば日本人女性は年齢よりずっと若く見えるというあれである。その少女が実は・・・というのがストーリーのミソなのだが、日本以外の観客(『呪怨劇場版』を見てるようなマニアを除く)にはそうであろうが、日本の観客は奥菜が「BUBUKAのアレ」や「結婚/離婚」を経た29歳のヴァージニティのない女性ということを知っているわけでそのあたりの意外性には欠ける。
また、サイトやチラシでも強調されている熱演に関しても『富江』の菅野美穂の衝撃を知ってるとさほどの驚きでもないし、「美少女」が「怖がる」のではなく「怖がらせる」ってのも『富江』以来さんざんやられていることだ。日本でこの映画で奥菜恵の評価が上がるとは考えにくい。
では、ハリウッドではどうかというと、この映画は上掲の二つに『リング』を加えたそれらに比べるとずっとリプレイ性に欠ける―めぐみは貞子や伽椰子、富江になりえないので、仮に続編が製作されたとしてもそのままの役で登場することは難しい。ならばこれが足がかりになるかといえばそうともいえないように思える。『ドラゴソボール』の公開が控えている田村英里子ほどの気概も感じられないし・・・あってもどうだっていう気もするし。


ここはいっそホームドラマに新天地をもとめ、『とっても母娘』のリメイクで今度はシングルマザー役を、ってのはどうだろうか。
もしくは『エコエコアザラク』の吉野公佳(略)