しなやかなおんなのこすとーりーのはじまり

『TOY』を読むなら『おんなのこ物語』も読め。

TO-Y (1)

TO-Y (1)

どっちも読め。
いや、昨日見たバンド百蚊の話だ。
百蚊web site
好きになりそうなんだが(それもとてつもなく)、どうにも惜しい、のだ。MYSPACEで聴ける音源に接してその思いが断然増した。
爆音の中での怪しいボーカルライン、ちゃんと練習してることが伝わるライブ構成・・・うーん、ホントに惜しい。
でもって、なんで最初にマンガの話をしたのかというと、彼らの「キャラクター」にちょっとばかり物足りなさを感じたからなのだ。そりゃそれが簡単なことだと思ってない。だけど、僕は彼女たち(あえて彼女たち)には大きな可能性を感じている。

「キャラクターを立てる」ということは、とても困難な作業なのです。限られた頁数の中で、キャラクターーの生活感、生き方、話し方、人生観などを的確に表現していかなければいけないからです。
(小池一夫小池一夫の誌上劇画村塾』23頁。スタジオ・シップ』1985)
つまり小池にとって「キャラクターを立てる」ことは、「魅力的な登場人物」として読者に認識させることとほぼ等しい。作劇法として映画や小説にも共通する考え方だ。
(テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ90頁。NTT出版2005)

これをバンドとライブ、観客に置き換えると良いだろう。でもって限られた「時間」の中でそれをしめさなきゃいけないバンドはなおさら大変だ。これが「青春パンク」や「パンク頭ヴィジュ肉」なんかの「キャラ」が立て易いもんだったら話は別だ。やる方も見る方もそんなに苦労せずにすむだろうが。
でもって、ここで僕が孫引きなんて文章を書く上で恥ずべきことをやっているのは彼らにMC5やストゥージズ、NYパンク、東京ロッカーズなどの姿を垣間見たような気がするから、そんでもってこれは褒め言葉。もってやれ。いろんなもんをかっぱらえ、である。
で、僕が彼らに感じた最大の不満は、まだまだバンドの仲の良さがにじみ出ていることだ。仲良しのバンドや漫才コンビなどクソ食らえである。日刊スポーツの近藤由美子には一生分からんやろうが、『リンダリンダリンダ [DVD]』を見ればバンドは得てして人に溝を作ってしまう。。これは原作『手紙 (文春文庫)』のバンドと映画の方のお笑いコンビを比較してみても良いけど、これ以上書くとグダグダになるんで止め。

もっともっとメンバー間に軋轢を!

軋轢

軋轢

特に凶暴な片岡知子的な魅力を持つ梶原洋未*1、一見ヘタレなサーストン・ムーアな五嶋賢はもっと仲悪くなった方が良い。分解はしないかって。大丈夫だって。あのリズム隊はそこをがっちり受け止めてくれるはずだから。特に原尻成二には『おんなのこ物語』で示されてるベーシスト像がしっかり見えたし、佐々木公宏の音をまとめてそうで実は何を考えてるかわかんないとこも良いよ。そんなメンバーの間にもっと軋轢が生ずれば、もっともっとキャラクターは立ってくるはずだ。
そんで、そのものすごーいテンションの仲で、梶原さんがひょこっといきなり"ひとりFree Kitten""ひとり猫招きカゲキ団"と化した姿もものすごく見たい。
僕の知らない間に「ELASTIC GIRLの逆襲」はとっくに始まってたのだ。

*1:ブログ拒否!素晴らしい