パンフであれこれ

右の画像は『エクステ』のパンフ。
狙いすぎな作りはともかくニオイがひどい。
でもって近頃買ったパンフのあれこれ。パンフって今どこいっても安いのが嬉しい。で、何より現在評価が決まった作品の公開当時の位置づけが判るのが楽しい。
例えば『エイリアン』や『マッドマックス』などでは、シガニーやメルギブの扱いが今では考えられないくらいちっちゃい。『エイリアン』に至っては主役扱いでもないし。ちなみ『マッドマックス』には永井豪画伯のイラスト&文が載ってるんだが、豪ちゃんテイスト爆裂ってワケではなく、作品におもねった感じがするのが惜しい気も。
あと『デアボリカ』の《サーカムサウンド》は有名だけど、ロックオペラ『TOMMY』の"QSクィンタフォニック・サウンド"は今回初めて知った。開発したのが山水電気(SANSUI)ってのも時代だなぁ。ちなみにサーカムサウンドとは「超低周波から超高周波まで周波数帯域が広範囲の「ディスクリート・四チャンネルレコードシステム・CD4」を開発したもの」らしい。THXやSDDSみたいなもんではないことは確かだな。
さてさて、今回手にいれたパンフで一番笑ったのは『落陽』。
映画 落陽 - allcinemaのユーザー評価二人で合計2点、
作品の詳細は

底抜け超大作 (映画秘宝コレクション)

底抜け超大作 (映画秘宝コレクション)

江戸木純先生の名文を読んでもらえば分かる、というか分かる必要もないんだけど、はてなキーワードの「にっかつ(現在は日活として復活)を倒産に追い込んだと言われる映画」ということを知ってれば充分。で、提灯記事を寄稿した評論家はなんと淀川長治小森和子の両御大。変なリキ入ってることは確かだね。中身はっていうとヨドチョウ先生は「日曜洋画劇場」でつまんない作品を紹介する時の例の口調でベタぼめしてるのでひとまず安心していいんだけど。小森のおばちゃまの「わが日本映画の起死回生作としても快哉!」ってのは、嗚呼この時点(92年)で既に呆けが始まっていたのかとか、まあ例の居眠りしてて観てないんだろなとかいろいろ考えてしまう。
最高にケッ作なのはこの作品の責任者"総合プロデューサー"藤浦敦の巻頭言。もう温泉に浸かったサル状態の文が続く、続く。最初に自分が思いついた企画だってことの自慢に始まって7年間の苦労を語った後に墓穴掘りが始まる。

問題は監督選考でした。私自身がメガホンを取りたかったのですが、これほどの大作ではプロデュースに徹しなければなりません。何人かの監督に当たりましたが、帯に短かし(ママ)、タスキに長しで、結局、私がそう監修することを条件に、映画界に毒されてない伴野氏にお願いしました。

どう考えて超短い選択だったと思うんだけど(笑)、スタッフ表みると監督補が二人もいるし!戸田奈津子の字幕以上の無駄というか無謀だよな。

演出は素人でしたが、ベテランカメラマン山崎善弘カメラマンや監督助手諸君のサポートもあって、うまくまとめてくれました。

「ベテランカメラマン山崎善弘カメラマン」って。あと「演出は素人」は普通「初めての演出ながら」と書くもんじゃないの。この時点でまともな人は既に疲労困憊で何も言い出す気力がなかったんだろうなぁ。
で、〆の

50億円という製作費が壮大な無駄使いに終わるか、それとも日本映画界始まって以来の快挙となるか、それは御覧になった観客の皆さんのご判断にお任せします。

ってのが、もう自信満々で「50〜無駄使い」を謙遜のつもりで書いたのが凄ーおかしい。
この映画の0号試写ってどんな雰囲気だったんだろう。湯気出してるこの親父たち数人と眩暈起こしてる多くの人人との間にものすごい大きな見えない壁が聳え立ってたことは想像できるけど。
まあ金額的には『ファイナル・ファンタジー』に比べりゃ、ねえともいえるが会社いっこつぶしてんだもんね。