期待外れの傑作

『硫黄島からの手紙』を見た。
この映画ある種の(勝手な)期待をして劇場に足を運んだ人たちにとってはその期待を大きく外した映画なのだろう。
まずは日本軍の勇敢さ、正しさを目の当たりにしようと思ってた方々。いや、これは事前情報をちょっぴりでも入れておけばそうはならなかったはずである。監督のイーストウッドだけでなく、主演の渡辺謙もたびたびＴＶなどにも顔を出し、｢戦争には英雄など存在しない。みんな犠牲者なんだ。｣ということを訴えていたんだから。
逆に日本軍のみっともなさを過剰に求めていた人も肩透かしをくらったはずである。まあ栗崎中将とバロン西が例外的な人物といえばそうなのかもしれないし、伊藤中尉を代表にそのあたりは充分描かれていたのではあるけど。
まあそういう不満はこの際どうでもいいことにしよう。

で、これは先ほどふと思ったことなんだけど、どうも太平洋戦争というより『ぼくらの七日間戦争』に赴いたようなパン屋さん、二宮和也くんや司令官の渡辺謙はともかくその他の主要キャスト渡辺謙、加瀬亮、中村師童のいずれも戦闘中に敵に向けてに発砲してないのだ。伊原剛だけが戦車砲で砲撃命令を下すシーンはあるのだが。それほど戦争映画を見たわけではないので何ともいえないのだが、あれだけ凄惨な戦闘シーンが質量ともにふんだんに描かれた映画でこういうことは無かったような気がする。<続く>

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