とにかく中谷美紀を見ろ!映画『力道山』こそあっつい純愛だ。
いろいろ不満はある。
①プロレスラーのキャスティング。ハロルド坂田の武藤敬司、東浪(東富士)の橋本真也、井村(木村)の船木誠勝遠藤幸吉の秋山準とフライヤー。木村を現代に蘇えらせるなら船木って発想は間違ってないのだが、その他の3人に違和感が。特にハロルド坂田プロレスセンスありすぎ!
②今の観客のプロレス眼にあわせるために、試合シーンの技を現代化させ過ぎ。特にラリアットの連発ってのもやだったし、でもって力道山の××ン××ーはズリこけそうになった。
③なんで登場人物として猪木が出ない?週プロのプロレスオールスターでの「猪木と北斗は出さないでほしい」ってこといっしょなのか。それと長州力、前田日明がなぜ出てないんだ。あと組関係者に藤原組長がいてほしかった。
だが、そんなちーさな不満なんかどーでもいいくらい、映画は熱い。もう力道山の凱旋試合のシーンのリアリティには会場のリアルタイム世代から「力道山!」と声が掛かったくらいだ。その声を聞いた瞬間思わず泣いてしまった。なんだかバーチャルな戦後体験をしているかのようだった。
話はキャッチの「日本人が知らない」に反して、力道山の死後噴出した礼賛・バッシング等の両方の"よく知られた"話で進んでいく。当然"稀代のやなヤツ"の傲慢さも、故郷喪失者の寂しさも描いてあるの(そこがこの映画のフェアネスだと思う)だが、それ以上に力道山の魅力がたっぷり描きこまれていて、なぜ彼が世紀のスーパーヒーローになったかが誰にでも分るようになっている。そりゃあの時代の子供なら力道山に憧れるに決まってるぞ!の説得力は抜群、それは主演のソン・ギョングの熱演によるところに多いんだが、それに加えて『殺人の追憶 [DVD]』のの撮影部の"フィルムに熱を帯びさせる"技量におってる部分も多い。多分この後『いかレスラー』や『MASKED41』を見ちゃうと試合シーンの迫力の差にかなり寂しい気持ちになるかもしれない。*1
そして何より芸者あがりの力道山の妻、綾の中谷美紀の健気さと一途さがとてつもなく美しい。もう僕の中では断然オードーリー・ヘップバーンより中谷美紀の方が優ってしまった。『電車男』の主体性の欠片も無いカラッポなお嬢さんを彼女だなんて思ってるヤツがもしいたら、桜並木でチャリ二人乗りシーンをじっくりと観るといい、静に忍びながらも毅然とした愛の形を見事に演じきった彼女に逢えるから。そして、ラストの字幕での「純愛の終結」に涙かれるまで泣くがいい。
・・・・とにかくこの映画を見ないで悪口いうヤツは許さん。
**浜崎死ね
試写会で
「私がFBSの小力道山浜崎正樹です」
なんて力道山・プロレスに対する愛情も理解もなく舐めた口たたきやがったのは
http://www.fbs.co.jp/cast/cast_top.html
こいつです。
天罰が下りますように。