普通に好きとかけっこう良いとか

去年『C』の時、やれクズだ、いや傑作だ!と喧しいこととなった。あの時僕は「拷問だな、これは」と思った口だが、まあ傑作だと思う人がいても良い*1と思う。ただ、あれを普通に良い映画と思う人はいたんだろうか。まあ、あの喧騒の中では「普通に好きなんだけど」という意見や態度は目立たなかったり、言い出しにくかったりしたんだろうけど。
というのもティーンエイジ・ファンクラブasin:B000065EAF』が発表された時、音楽誌・ライターによってその評価は真っ二つだった。『米国音楽』なんかのライターの人たちはこのアルバムを「時代を代表する傑作!」と持ち上げていたが、『ミュージック・マガジン』なんかでは「クズ。特にドラムは人に聴かせるレベルにない」なんてこき下ろしていた。僕の友達でもドュービーのファンの人間なんかに聴かせると「ごめん、もうホカのに替えていい」と言われたことがあったりする。
僕は「傑作」とは思わないけれど、けっこう好きだった。
ただ、このドラムの稚拙さってのは「けっこう味かも」とはあったけど「下手だよなあ」とは感じていた。あの時の大人の人はこれやペイブメントなんかの「下手」さが許せなかったのだろうし、絶賛した人たちはそれを除いても(それを含めても、もしくはそうだからこそ)凄いんだと誉めてたんだと思う。
しかし、後にその「下手さ」をバンド本人がヤになってしまって誉めてた人の梯子を外す形になっちゃったんだよなあ。
僕は今聴いても普通に好きだし、下手だと思うんだけど、あの時誉めてた人もかなりいい年になったはずだ。今このアルバムをどう評価するのだろうか。「若気のなんとか」なのか「記念碑」なのか…まあどっちでも世の中にはたいした影響ないかもしれないが。

*1:その理由がバカな時はバカだと思うだけ。