桜井亜美がよーわからん

ぼちぼち読み始めようと思った『いとしさの王国へ―文学的少女漫画読本 (MARBLE BOOKS)』。やっぱりというか岡崎京子が気になったんで桜井亜美岡崎京子、少女の解体」から。
うーん、なんでこの人って「アタマイイ」というか「知的」って思われるのを微妙に避けてるんだろうという印象。でも「バカ」って云われるのはすげーイヤ!みたいな感じもする。明らかに準備をしてこれに望んでるんだけど、書き言葉にすることで知性が出張るのは避けるってな風で。
「宝島」とか「スタジオヴォイス」的な80年代カルチャーってどっか「高偏差値」的で、現代の「ケータイ小説」に代表されるそれって「低偏差値」っぽいと思うんだけど、彼女って自分の立ち位置がおそらくその"はざま"だってことを自覚してんだろうなぁ。


まああんな短い文章だけであーだこーだ考えるのもあれなんで

イノセントワールド (幻冬舎文庫)

イノセントワールド (幻冬舎文庫)

を読んでみた。
頭の部分はなんだかvia.岡崎の「半身」ってな趣なんだけど、話が進むにつれて80年代サブカルの臭いぷんぷんやんか。上記の二つ以外でいえば、ペヨトル工房国書刊行会の臭いもするし。主人公のアミが「若くして死んだ中国の俳優」に似ている男に対して「考えるな、感じれ」とか訴えるのは編集者の入れ知恵のような気もするが、タイトルだってミスチルエルビス・コステロって経路での「80年代のサリンジャー」って言われてたマキナニーの
ストーリー・オブ・マイ・ライフ (新潮文庫)

ストーリー・オブ・マイ・ライフ (新潮文庫)

じゃねーのか!なんて悪態をついて誤魔化したくなるほどに良かった。「17歳の現役女子高生」なんてギミックに引っかかったヤツが出てきたってーのは天晴れである。

ところが、である。続いて手に取った

MADE IN HEAVEN―Juri

MADE IN HEAVEN―Juri

を10頁くらい読んであれっ?である。初めはなんだかTBS的な頭の悪さがにじみ出てるジャケに違和感をおぼえたんだけど、中身も背伸びした高校生が書いたみたいなサスペンスでああなるほどである。3年後には名前と顔が一致しなくなってそうなアイドル女優とイケメン俳優が主演するドラマみたい(もひとりの捜査官は向井理かな)。例えば詳伝社だったとしたら処女作は「フィール・ヤング」や「Boon」でこっちはノンノベルっていうか。


てこってここで一旦置いといて

虹の女神―Rainbow Song (幻冬舎文庫)

虹の女神―Rainbow Song (幻冬舎文庫)

を先に読もうかと。

それはそうと桜井亜美って

噂の真相」読んでたんじゃないのか。
『イノセント・ワールド』のあの文体の素って一番は少女マンガで、「 」はふきだしに相当してるんだろうけど、なんだか(特にあとがきに)中森明夫

東京トンガリキッズ (角川文庫)

東京トンガリキッズ (角川文庫)

の影響も感じるような気がする。中森が黒幕ってことはないにしても、もろに出てくるミヤダイもあわせて、成宮観音を思い出してしまったよ。