岩館真理子「ぼんやりサヨコのわがアイ、わがカクメイ」

岩館真理子のことを「美しいぼんやりとした精神」とよんだのはいしかわじゅんである*1。その岩館が「政治漫画」を描くというからびっくりである。
岩館マンガの特徴のひとつに、主要な登場人物が「何ゆえ、今それ!」といった感じでわざわざ話があさっての方向に行くような言動、行動をとることがあるのだが、今回の「ぼんやりサヨコのわがアイ、わがカクメイ」もまさにそれで、主人公サヨコ(上羅佐夜子)が大学の同級生桜子に「あなたってばんやりしてるね。ぼんやりサヨコ」といわれたのを「ぼんやりサヨク」と聞き間違った(どうして!生まれてこの方ずっと聞き慣れた単語をどうやって聞き間違えるんだ!)ことが話の発端である。
それからのサヨコの行動がまた変である。どーしたら良いか戸惑ったサヨコは(別に聞き流せば良いんだけど)、二、三日ただただあーだこーだとひとりで妄想した後に(ただこの時のサヨコが妙にキュートなのが岩館の真骨頂なんだけど)、以前「自分探し」に興味があったときに指南書だと思って買った

自分探しが止まらない (SB新書)

自分探しが止まらない (SB新書)

経由で読んだ
「私」探しゲーム―欲望私民社会論 (ちくま学芸文庫)

「私」探しゲーム―欲望私民社会論 (ちくま学芸文庫)

に街でパクられた「カゲキハ」の女性がオシャレだったという文章

レポ(偵察)に出るための偽装だった、という説もありうるが、だからと言って彼女がファッションをたのしんでいなかった、ということにならない

を思い出し、そのころの「an an」を研究するためにと

「アンアン」1970 (平凡社新書 358)

「アンアン」1970 (平凡社新書 358)

を買ってくきたり、その当時のファッションを探そう(って、出品してるのか?)と覗いたネットオークションで、それらしい本を数冊(その中の一冊が『わが愛、わが革命』)落札するも、ぼんやりしてて連絡をしないまま数日が断ち、いきなりの「非常に悪い落札者です」(−5)の評価をくらったりする。
こんな姉のいつものトンチンカンに業を煮やした、しっかりものの妹ルイが「そんなことはサチホ先輩にきけば」と的確な助言をする。そうして、サヨコの高校の先輩サチホの彼氏が推薦した
ローザの手紙 (1964年)

ローザの手紙 (1964年)

をリビングで読む娘に、母重子がちょっとおどろくところでやっと話が転がり始める。
さてさて、どーなることやら。






はてなブックマーク - チャンネル桜 チーム桜子: 『ぼんやりサヨク攻略法』

*1:

漫画の時間

漫画の時間