elとソフィアと小椋冬美

ピロウズ&プレイヤーズ/チェリー・レッド1982-1983

ピロウズ&プレイヤーズ/チェリー・レッド1982-1983

きのうのつづき
olieveってことで、小椋冬美も読むときに流すんだったらチェリーレッドかエル、あとはクリエーションだろうなんて初め考えてたんだけど、実はちょっとそうでもないのかなぁっと自信がなくなってきた。
というのも彼女の描く女の人って「肉感」がある。なんかそっちの人が好きなのって、例えば「STUDIO VICE」94年9月号キューティたちの60年代に載ってるようなキューティ(ツィギー、ジェーン・バーキン)とか、甲田益也子みたいな人だと思うんだけど、そうじゃなくって。
きのうの4冊で一番すっとしてる『オリーブの木陰』の表紙でさえ、乳房の下が若干隆起した後にほっそりした腰に連なってる感じ。

これが岩館真理子だともっとすっとしてる。

タイトル作「オリーブの木陰」に出てくる映画が『ローマの休日』なんだけど、小椋冬美の理想の女性はオードリー・ヘップバーンじゃないのは明白。その外の作品は2、3年後に描かれているんだけど、そこに登場する主人公の女の人はもちょっとお腹のあたりがふっくらしてくる。他の3冊の表紙(特に後の2冊)はいわずもがな。
時代が下りにつれて作品中の女性にもどんどんその傾向が出てきて、「夢の人たち#4 成美」の成美はおっぱいが大きいことを悩んでて

この頃は/やせてる女の子が/流行っているから
たぶん/わたしみたいな/体型って/時代遅れなんだわ
あ…/胸のボタン/きつい
やだな/最近の服って/細いんだもん

なんてつぶやく。ボディコンがいつ頃流行ったかは忘れたけど(ちなみに『ボディコン労働者階級』は92年)、この作品が描かれたころ(89〜90年)ってそーだっけ。これは世間の流行っていうよりYOUNG YOUの読者のってことなのかもしれない。ま、とにもかくにも細いオンナのコに異を唱えているわけ。
あと「薔薇色のお酒」*1には「イタリアの麦畑の中に立つと似あいそうなだな」という主人公の家政婦ゆり子(28歳)がほのかに恋心を寄せてる作家の言葉が出てくる。ゆり子は「細身じゃないってことだわ」って悪い意味にとるんだけど、あきらかに褒め言葉として読めるようになってる。
このあたりで"ああもしかあの人"ってある一人の女優が浮かんできたんで、確認のために『わたしたちができるまで』を開いてみると、「好きな女性のタイプ」という吉田戦車の質問に「色白でポチャッとして、胸と尻にヴォリュームがあって、ウエストが細目の人」って答えているやん。
てこって、やっぱりソフィア・ローレン*2。イタリア語のタイトル『ラ・メーラ』のオープニングがひまわりってのでもうビンゴでしょ。


てこって小椋冬美に読むのに適したCDは

amen: last sunshine deserts of el records

amen: last sunshine deserts of el records

  • アーティスト: Various Artists,Marden Hill,Shock Headed Peters,The King Of Luxenbourg,Vic Godard,Louis Philippe,Momus,The Monochrome Set,Would Be Goods,Flipper's Guitar
  • 出版社/メーカー: RICHMOND RECORDS
  • 発売日: 2002/07/01
  • メディア: CD
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である。

なーんだ、最初のでよかったんじゃん。
バニーズやバウハウスで読めない岩館真理子 - BEAT-MANgus(椣平夢若食い散らかし記)

*1:『スイート・ミュージック』収録

*2:マリリン・モンローやろ、という突っ込みは…

彼女の生活 (KCmimiデラックス 118)

彼女の生活 (KCmimiデラックス 118)