ガロ派とCOM派と大島弓子


毎日が夏休み (角川文庫)

毎日が夏休み (角川文庫)

いわゆるノベライズ本なんだけど、巻末が面白い。で、その目次。

 佐伯日菜子ロングロングインタビュー 
 大島弓子さんの世界にふれて 佐野史郎
 毎日が永遠の夏休み 金子修介
 大島弓子ショートインタビュー    

  解説 寺本直未

その中で繰り返し書かれているのが佐野史郎金子修介監督の漫画の好み(というか派閥?)。

(いろんな人への謝辞の中で)
そして、何より同世代であり、共に父親であり、コミックファンである金子修介監督に(ただし、彼はCOM派、僕はガロ派―と少年時代に戻って話し込んでしまった出会いでしたが)
「大島〜」 

あまりに大島さんの絵柄そのものでマジマジと見つめてしまったのが、佐野史郎さんである。彼もまた熱烈なマンガマニアで、金子監督が「COM」派なら僕が「ガロ派」*1で、接点が大島作品なんだよね、とつぶやいた
「解説」

ガロとCOMってのがらしいよね。「少年チャンピオン」とか「漫画サンデー」とかじゃないし、それぞれのイメージにあってる。

それと当然(といっていいと思う)『トーマの心臓』と『1999年の夏休み』のこと。

僕は萩尾望都さんの『トーマの心臓』から構想を得て、『1999年の夏休み』という映画を創ったが、これも、永遠に続くであろう夏休みを描こうとしたものだった。
「毎日が永遠の夏休み」

登場人物も少なく、“現実と地続きのメルヘン”を描いている大島作品は、はたからみていかにも映画化しにくそうだ。そんな大業をはたした金子修介監督といえば、おのずと思い出されるのがやはり少女マンガ家・萩尾望都の原作(『トーマの心臓』)を映画化した『1999年の夏休み』(88)である。
「解説」

で、ひとまず『1999年』はおいといて、も一個注目したいのが、寺本が「映画しにくそう」といってる大島作品なのだが、当の金子監督はこんな風に書いている。

殆ど原作をなぞるような形でシナリオ化していったが、こんなにも映画的な物語だったとは、書く前には思わなかったのである。大島さんのフレームは余白が多く、いわゆる映画的手法を感じさせるコマ割とか、劇的に激しい展開が無く、詩のように進むが、いざその通りに書いてゆくと、映画になってゆくのだった

案外、これ漫画の映画化のヒントになってないかなぁ。失敗したんが『さくらのソニョ』ってことで。

*1:「」はママ