猫の瞳のように気まぐれよ、She is a kitten、ニャーオの2

つづき

てこって「ダイエット」を読む。
表紙に天使の絵、そんでもって登場人物の名に標縄、黒豆、カズノコ、角松、富士ときて、福ちゃんの「ニルバーナ」とくると、まさに盆と正月とクリスマス(もしくは復活祭)がいっぺんに来たといった感じだけど、それが「1月号」掲載作品という以上の意味かどうかは分からない。

意味といえば天使の表紙を開くと英単語「diet」の辞書的な意味1と2が書いてあって*1、おそらく2の「議会、国会」にはさほど関係はないと思われる*2
で、問題は1の方。

diet
・飲食物、食品
・規定食、特別食、食餌療法
・常食、よく食べるもの
・常用飼料
・いつも与えられるもの
 習慣的なもの

この部分をきにとめないで、「ダイエット」を俗用の「痩身法」という意味にとって、福ちゃんが痩せるときの「りんごダイエット」のお話と読んでもいっこうにかまわないんだろうけど。しかし、それでは福ちゃんの「食べる理由」で始まり、「食餌療法」中にこそっと食べたものの「美味しさ」で終わるお話の半分も味わったことにならないのかもしれない。
そんなこんなでお話は食べたり、食べなかったり、弁当を作ってあげたりのがあって、「過食」「小食」「拒食」の末に人生の目的(子供を持って今の自分を越える)を失いかける福ちゃんを子供にすることを決意するカズノコと角松ていうクライマックスを迎えるんだけど、この作品が映画『グーグーが猫である』公開にあわせた発売のセレクションの巻頭を飾ったってことは、ここで「親と子」なんていう関係が必ずしも直接の出産を解さなくても良い、そして、それは必ずしも人と人でなくても構わないことなのかなと思った。いや、だって福ちゃんが「肥」「痩」「肥」「痩」を繰り返す時に身長が増減する*3のって「猫の瞳」ってことでしょ。



一度読んで『マンガ夜話vol2』と『岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)』の両方に載ってるキーワード「肥満」を読んで、これって『東京ガールズブラボー』の丸玉玉子や『ヘルタースケルター』のリリィとその妹の元ネタって思ったけど、どうもゼンゼン違うみたいね。「じゃがいも」→「根茎」が「私はあなたのおもちゃ」なのの冒頭のセリフ*4のモチーフになった可能性より低い。

*1:雑誌掲載時にこれがあったのかどうかちょっと気になる

*2:参考:英単語を一日1語 diet「国会」を表す英単語って、国によって違いますよね。Diet, Congress, Parliam... - Yahoo!知恵袋

*3:カズノコが「マンガって」という突っ込みをしているが、伸びるだけなら『12の三四郎』だって「全盛期の猪木の身長」(by北野誠)にあわせて伸びてるもん

*4:

OKAZAKI‐ism―岡崎京子研究読本

OKAZAKI‐ism―岡崎京子研究読本

』「岡崎京子による引用・言及事例集」259頁