自転車のタイヤがパンクして

ブクマーケットの隣の自転車でなおしてもらってる間に『NANA』を2巻買った。というのも日々の生活から起きていることを観察しよう!!: NANAはなぜブレークしたのか?なんてのを読んだから。

彼女のベストセラー

決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール

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には「本当に成長している会社の第二の原則は「より効率よく資産を使ってる」という言葉があって、それがこのエントリーとどう絡んでくるかということをちょこっと考えてみようと思ったわけで・・・とかなんとか。実はこの本買って(海苔ちゃんが)ちっとも読まずに飯台に上ずーと置きっぱなしだったんで。


で、「キャラクター」に関しては『テヅカ・イズ・デッド』の「『NANA』はキャラは弱いけど、キャラクターは立っている」を読んでもらうとして*1、僕の関心は「音楽」の部分。
勝間先生は「音楽」とざっくり語ってるけど、そうは出来ない人がいて、例えばギンティ小林は「映画秘宝2005年ベスト&トホホ」で『NANA』をトホホに選びこう書いている。

それにしても、「セックスピストルズが好きなベースとドラム募集」ってメンバー集めて何ゆえに中島美嘉の曲があんな風になるのかわかりません

映画と原作違うだろうからと1、2巻を読んだんだけど、僕にはさほど作者のパンクへのこだわりは感じられなかった。まあ、こだわりが過度に強かった場合には逆にマンガとしてイタクなることは

マンガ地獄変

マンガ地獄変

吉田豪ちゃんの「地獄に落ちたパンク・マンガども」に紹介された『もっとないてよマイディア』*2等で解るってもんだ。ちなみにその文章の最後に

そういう意味で真にパンクな方法論を用いた漫画というのは、「やーねぇ、これはいまロンドンで流行しているパンクファッションなのよ!」ときんどーちゃんに言わせた『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ)やそのテクノポップへの傾倒ぶりが尋常ではなかった『すすめ!パイレーツ』(江口寿史)ぐらいなももでしかないのである

と賞賛された二人にしても、「BSマンガ夜話」第23弾初日『マカロニほうれん荘』の回(2002年8月5日放送)で、鴨川はローリーに「マニアックではなく実にミーハー。「ミュージック・ライフ」に載ったもんがすぐに反映される」と指摘されているし、江口は「FMレコパル」で見たDEVOを聴きもせずにそのまま描いたことを告白している。最も有名な一つのひばりくんの表紙で、テクノポップコンピ『テクノロイド ~JAPANESE 80's NEW WAVE SAMPLER』のジャケットに採用された

のベースの左右が逆なのは単なるデザイン上の理由でしかない。

で、この問題を解く鍵は同じく吉田豪ちゃんのTBSラジオ「コラムの花道」(2006年6月21日放送「今、何かと話題になっているアーティスト「元T-BOLAN森友嵐士さん」について全てを語りつくします!」(http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20060821.mp3)にあるんじゃないかと思った。「T−BOLAN」と聞いてここで豪ちゃんと同じく「どこかTやねん、どかがBOLANやねん」と思う層と亀田親子のように大ファンになる層の分かれ方が『NANA』のシド・ビシャス等の扱いに対して反応といっしょなんではないか、と。
これが勝間先生の要素3

漫画はどちらかというとこれまで、なんだかんだ言って、インテリ向け路線が多かったと思いませんか? それは、書き手の多くが大学卒業のインテリだったから、柴門ふみ川原泉里中満智子清水玲子と言ったような、ちょっとまじめな雰囲気が多かったと思います。

に繋がってくると思う。この国の「パンク」ってどっかインテリ層に受け入れられた感があって、それは前述のマンガ夜話でローリーが「ML」とともに持ってきた「音楽専科」に「NME」*3が載っていたこととどう関係あるかは今後の課題として、その証拠に『別冊宝島18 現代思想のキーワード』に「両義性」や「TAO」、「パラダイム」、「シニフィエ/シニフィアン」、「エントロピー」に混じって「パンク」があることを上げるのはそれほど無茶な話ではないと思う。そういった意味でパンクは「被差別音楽」ではない。

そんでもって『NANA』に出てくるシド/ピストルズ=パンクはファッションとして消費された後に堅苦しい思想(例えば小野島大の「パンクとは音楽を通じて正しい世界認識を得る」みたいなもん)から自由になったもんなので、「T−BOLAN」にケッという人ではなく素直に受け入れる人に・・・



なんて考えて、あれ、どっかおかしいなぁと思いなおしてる間にパンク修理が終わっていた。
2箇所で630円だった。

*1:物語とキャラ/キャラクター - BEAT-MANgus(椣平夢若食い散らかし記)で引用したのはその一部

*2:今日の店には置いてなかったんで探す!

*3:NMEに関しては洋泉社刊『ロックの冒険』を