東映は東映らしく、『相棒』は『相棒』らしく

何回も行ってるけど、僕が一番好きな日本製映画は

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である。でもって、この映画allcinemaのユーザー評価で10点中1点なんだけど、僕はその評価に納得する。ほんとダメな映画だったってことは認める。全くかみ合ってない脚本と演出。和泉聖治石井隆を組み合わせようとした意図が全く分からない。だいたい一風堂土屋昌巳を連れてきて何をしたかったんだ。劇中山田辰夫が嫌気がさしてトンズラかますシーンが妙に切実なのはこの映画の現場もそんなんだったろうなぁと想像してしまうからだ。で、出演するのが不服だったんだろう、終始困ったなぁってなタイトルロールでしかも芸名もそこから取られた女優。彼女が唯一パッと明るい表情を見せるのが水族館ってのが、この方がその後進む道を暗示している。女優という仕事が嫌いって言ってた時期もあるし。
そんなデビューからの紆余曲折をへて、彼女が高樹沙耶を通り越して、益戸育江の顔を見せてるのをスクリーンで見てきた。
マジでマラソンの出発の前の表情は宮部たまきのそれではない。表情云々の前に顔の"色"が違う、というか間違っている。
あんなんで良いのか!

僕は良いけど。

てこって『相棒劇場版』もどっかボタンのかけ違いがある。脚本がもっとも功績のある輿水泰弘ではなく、『サトラレ』や『UDON』で本広克弘と組んだ戸田山雅司って点でそれは明白だ。
確かにTVでの『相棒』は「刑事弁護」「裁判員制度」などを告発してきた。だから今回の告発もありだし、右京さんの"犯人"の動機への共感、行為への反感―あなたのお気持ちは察します。でもあなたやったことは許せない―もいつもの『相棒』だ。が、それを『踊る!大捜査線』や『名探偵コナン』のできそこないのような事件でみせてどうするのだ。そもそもTVスペシャルで『踊る!』をやろうとして、そのしょぼさにトホホとなってなかったのか。そんなのはフジテレビ製作東宝配給に任せておけばいいやんか。爆弾がらみなら日テレ製作東宝配給の方がずっと上手いだろうし。


相棒の語源は駕籠(かご)など、二人で物をかつぐときの相手のことらしい。映画で言ったら監督と脚本家(もしくはプロデューサー)。その息が合った時に客が喜ぶんだと思う。製作者がTVシリーズ『相棒』の観客は「踊る!」の劣化コピーを見せて喜ぶとでも思ったのか。なんで戸田山なんだ?シリーズのライターに昨年小品ながら評価が高かった

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古沢良太がいるのに。そっちの方がもっと人間を見せることができたんじゃないのか。SEASON6の「ついている女」「狙われた女」(ゲスト主演:鈴木杏樹+MEGUMI)で和泉監督との相性の良さも証明されていると思うのだが・・・
相棒 - Wikipedia

いや、もしかしたら『沙耶〜』がずっとひっかかっていた和泉監督があの笑顔を撮りたかっただけだったのかも。
だったら僕の言うことはないけど。