「少林」も「少女」も描いていない「小林小女」

「小林少女」っていってたけど、ようく考えると「小林小女」だったんではないかと。


まあ「少林」にはもう腹も立ちませんでした。
本広は『サマータイムマシンブルース』で「SF研究会」を舞台にしながら、「何マジになってんですか」とばかりに「SF」にも「研究会」にも敬意を払いませんでした。だから、ブルース・リー師父本人、各作品への侮辱も予想の範囲内です。製作者、脚本家も同様に「少林」や「カンフー」への思い入れ、それから協力頂いたラクロスの方々への感謝((なんだか、娘コッポラ『ロストラ』を思い出した))もないだろうからいいとしましょう。
ただし、アクション監督:野口彰宏 武術指導:マーク武蔵の二人の名前は覚えていた方がいいのかもしれません。
同様に

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は単なる偶然だろうし、と思えばいいんでしょう。そういえば「仲村トオルさん、40過ぎてもあの動きは凄い」とかいってる数が数えれないような人が言ってますが。『カンフー・ハッスル』のƒuƒ‹[ƒXEƒŠƒƒƒ“(—À¬—´)はおいくつだと思ってんだ!!、です。そもそも全然動けてないですし。で、この人学園の「売り」にしようというのに、ラクロス部に優秀なコーチ、や選手を集めることしなかったでしょうか。少なくともまともなコーチを呼んでおけば、リンに直接「チームワーク」の素晴らしさを教えりゃ済んだのでは。それとも「ラクロス」にはそこらへんの子供サッカーのコーチ以下の人材しかいないとでも言いたいんでしょうか。先のワールドカップで「チームプレイ」の大切さが身にしみて、指導者としてクラスチェンジしたジーコならともかく。それともオシムを予定していて「水を運ぶ選手」ってことで実際にリンが手桶で水を運ぶシーンを考えてたんだけどってなことなんでしょうか。やっぱお世話になったラクロスの人への扱いは娘コッポラが日本で散々お世話になった方々を猿とでも思ってたのに似てるんではないでしょうか。


ところで「少林拳の心」を学びに行ったはずの「少林寺」を「卒業」しながら
ちーっとも身についてないのはなんなんでしょうか。やっぱ間違って雲南省あたりの「小林寺」に行ってたんではないでしょうか。


あ、そうでした。
個人的にはもっと問題なのは「少女」の方なんです。
例えば

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も監督の山下敦弘は撮影前にはブルーハーツには特段の思い入れを抱いてなかったのが、撮影をしながらブルーハーツの歌の熱にあてられ続けた故に、その熱をフィルムに定着することに成功しました。劇中でも「ワン・オブ・ゼム」に過ぎなかったブルーハーツの青い心をメンバーが会得していく様が描かれてました。バンドとカラオケの区別もつかない人*1には分からないでしょうが、バンドならでは軋轢・葛藤・結集も見事に描かれていましたよね。
「小林小女」にはそれがありません。なんとなくリンを嫌い、なんとなく和解します。

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には決意が描かれてました。最初マジになったメンバーとマジになれないのメンバーは行動を別にします。が、マジの情熱にほだされた彼女たちはブランド物のバッグを売って楽器を手に入れて楽団の輪に入ります。そのシーンに「お前らいつ練習したんだ」なんて突っ込みは野暮の骨頂でしょう。その決意こそ重要なんですから。
なのに『小林小女』ではなんとなく(以下略)。

これじゃラクロスの、少林拳の、太極拳の「特訓」をした彼女たちが報われてませんよね。

最初『踊る大捜査線』メンバーでもある水野美紀だったら話は早いじゃん、という意見もありましたが、今となってはという感じです。

※改めてhttp://d.hatena.ne.jp/shidehira/edit?date=20080328の拳の写真見てあーあと。