名匠と名優で、いやいやこんなもんでしょ映画

奇妙な論理〈2〉空飛ぶ円盤からユリ・ゲラーまで (現代教養文庫)

奇妙な論理〈2〉空飛ぶ円盤からユリ・ゲラーまで (現代教養文庫)

手品師は、科学者こそ世界でいちばんだましやすい人種だとだれでもいうだろう。(略)科学者の考えることはいつも合理的だ。それまで合理的な世界ばかりを体験してきたからだ。ところが手品の方法は非合理的で、科学者が全く体験しないような種類のものだ。

ユリ・ゲラー (Uri Geller) - Skeptic's Wiki
なーーーーんてことはこの際無視する。
博多駅ブックオフで『シンドバッド7回目の航海【字幕版】 [VHS]』を購入の際、いっしょに購入した"世界初のインタラクティブ・サイキック・エクスペリメント・ムービー"(だいたい映画において"世界初"はぜんぜん世界初じゃないか、世界で最初で最後だ。)

超能力者 ユリ・ゲラー(字幕) [VHS]

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を観るに当たって、そんな心持ちは捨てなくてはいけない。
だって、楽しめんやろ。
ジャケットには「真実なら救世主。嘘なら詐欺師。科学と奇跡のボーダーラインを歩く、ユリ・ゲラーの謎に挑む」なんてコピーがうなってるけど、製作者はそんなこと全然考えてないことは確かだ。
それにしてもイギリス人てのはなんて底意地の悪い人たちなんだろ。このイギリスのテレフィーチャー『『超能力者ユリ・ゲラー』ケン・ラッセルに任せるなんて。これがデ・パルマであればウリの苦悩をそれなりに、クローネンバーグであれば科学実験を丹念に描くであろうが、ケニーはそんなことしない。初手からオレに監督任したのはこんなん観たいからだろってな、サービスとも事故主張ともヤケクソともつかない美術を披露。そのあと
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的なイスラエル時代を経て、心理学者に招かれてアメリカに渡った後はやりたい放題で、ウリ・ゲラーといっしょに、彼を利用しようとした米軍、インチキ扱いしたメディアもぜーーんぶサル扱い。
アルタード・ステーツ~未知への挑戦~ [DVD]

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セルフ劣化コピーには腹抱えて笑った。
こんな扱いされてウリ坊よく怒んなかったなぁ、てなもんである。まあ世界中で注目を浴びた70年代から、かれこれ20年も経ったころの製作なんだろうから、作ってもらっただけで嬉しかったのかもね。
そんなこんなで、映画興行師はたくましいね。

映画の香具師は自称超能力者こそ世界でいちばんだましやすい人種だとだれでもいうだろう。

てなもんである。
http://media.excite.co.jp/book/interview/200402/index.html
それにしても、使われている音楽がビージーズエルトン・ジョンピーター・ガブリエル、ムーディ・ブルースって無意味に豪華ってなのも謎である。たぶん、ケン・ラッセルの、私は

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の監督でもあるんじゃよ、ってなもん以上のもんはなんにもないに違いない。
※そういえば、「アメトーーク」ったら、エアロスミス、REOスピードワゴンレッド・ツェッペリンミッシェル・ポルナレフ等のロックな話は思い切りスルーだったね。


あ、それからジャケには名匠ケン・ラッセルとともにテレンス・スタンプのことも名優となってたけど、個人的にこの人は

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であるし、この時もラリッってかもしんないじゃん、と思っている。