昼食のコペルニクス

深町先生(傑作! グルメストーカー - 深町秋生の序二段日記)、わっしゅさん(青りんごサワーでいいですね - 男の魂に火をつけろ!)に煽られて(笑)、

芸能グルメストーカー

芸能グルメストーカー

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

を読む。手に触れた順番(『芸能グルメストーカー』→『孤独のグルメ』)で読んでしまったことをちょっぴり後悔。
というのも『芸グス』に上手くノレなかった。対象となる女性芸能人への「思い」がなかなか同調しないのだ。グッドチューニングだったのは井上和歌(ワカパイより唇には同意)ぐらいで、渡辺満里奈若槻千夏の章にはどうもイガイガしたものを感じる。ただ、これはこの本の欠陥ではなく、僕がズレてるからだと思った。僕の勝手な彼女たちへの思いがこの本を読みづらくしている、んだと。
で、一番違和感を感じてたのが奥菜恵のとこ。
でもって、そのもやもやが『孤グル』ですっきりした。
実は僕は『孤グル』文庫版第1話の最終コマのすぐ近くに住んでたことがあって、もうそれだけでKOされちまったのだ。で、この明治通りってば始終でかい車が通るんで、その度に部屋が揺れて住み始めのころは非常に閉口したもんだった。その時いっしょに働いていた"地元のコ"にそのことを告げると、あっさり「この辺地盤ゆるいから、揺れるのあったり前ですよ」とのことだった。で、そのコっていうのが奥菜恵の中学の先輩だったのだ。そう、奥菜は南千住で育ってること、そして、タクシーを拾えなかった井之頭五郎が向かうかもしれない箕輪駅から、商店街をずずっと進んで端っこにある、肉屋の弁当でハラミの美味しさを知った僕からしてみれば、奥菜と「スタミナ苑」には全く違和感がないのだ。
ちなみに、最後のコマを箕輪駅とは逆方向に行ったとこにちっちゃな弁当屋があって、味はなんてことなかったのだがよく利用していた。切り盛りしてる女の人(たぶん当時40くらいかな)がすげー綺麗な人で、なんかちょっとワケアリ感があって、もしかして元女優さんかもなんて思わせるような、まさに"ハキダメニツル"って言葉を体現してるような人。まあ、あの人に比べればこの前のジョリーパスタの女(あ、店名言ってしまった)なんか単なるションベン臭いガキじゃないか(嘲って下さい)。
まあ、そんなこんなでこっちはすごーく楽しく読めた。一番嬉しかったのが、主人公の思惑が外れちゃうところ。"食いたい"と閃いたものはだいたいにおいて食べられず、思うままに注文すると食材がダブってしまうんだもん。こんな失敗は事前情報ゼロで初めて入る店の緊張感を知る者のみが共感できる。ガイドブックやグルメサイトで飯屋を決めたり、安易にチェーン店に入ってばかりではあれは味わえない。ああ、でもそんな飯の食い方10年くらいしてないなぁ。
で、これは言い尽くされたことだろうけど、グルメ漫画の代表『美味しんぼ』へのアンチがおかしい。主人公の設定が山岡士郎の「オレはご飯のおかずで酒を飲むのが好きなんだ」に対して、井之頭五郎は「酒は飲めないけど 酒の肴は何でも好きだ」。そしてなにより

やっぱりこういうとこで
食う物に文句言っちゃ
いけないぜ