半歩踏み出し

潜水艦スーパー99 第2巻 (サンデー・コミックス)

書影が出ないのが非常に残念。是非http://db.leiji.jp/comics/で確認してもらいたいのだが、2巻のカバーで主人公がいかにもな松本零士な髪形になっているのだが、どうしたことか作品中はずっと手塚キャラのまんま。でもって中身もいかにもな海洋マンガで『サブマリン707 1 (秋田コミックスセレクト)』とか『【復刻版】青の6号 (上巻) (SEBUNコミックス)』なんかの陰に隠れてていいような内容でストーリーが横スクロールオンリーぶりさが「いにしえの少年漫画」っぷりでこれを初見で松本零士だってわかる人がいたら偉い!と思えるようなもの。
久しぶりにコレクターズアイテムなんて言葉を思い出した。人に薦めるもんじゃないね。
しかし、この手塚が築いたマンガ王国のテリトリーの膨張に多いに加担した一人の松本もこんなん書いていたのが解ったのは何だか嬉しい。

ミライザーバン 1 (サンコミックス)

マンガが最も刺激的なのは少年たちの思惑を半歩超えてる瞬間だと思う。一歩以上越えてしまった『デビルマン』等になると―去年のあの惨劇を思い出すまでもなく刺激という言葉でうまく説明できないような気がする。「時」というテーマのマンガでは、今改めて読むとビックリするような低レベルの内容の横山光輝『時の行者』というあまりにオーバーレイテッドな作品がある。小学生の知識範囲だけで描かれたこの作品が全く刺激の乏しいものなのに対して、この『ミライザーバン』は刺激に満ち溢れた佳作である。
たしかにSF考証的にはアラとも見えるような「時間」の扱い方もないではない。ふん、そんなもんはコムチカシイことをいう人に任せておけばいいのであるし、投げっぱなしドラゴンのような宙ぶらりんな結末も僕は心地良く読んだ。
いやーそれにしてもブ男主人公の系譜と男前主人公の系譜のミッシングリングのこのような作品を今まで読んでなかったことがけっこう悔やまれる。ただ、この作品を読むのに早すぎることもないように遅過ぎることもないんだと思う。