彼はこんなとこで投げてるピッチャーではない

福岡の解説陣がよく山田や寺原などに使う言葉。というか現役時代の人気やコネで、言葉の研鑽をつまないまま、そのまま解説者になるという悪習が改まる気配のないプロ野球界全体でよく使われている言葉。
どういう場面で使われているかというと「先発ローテに入ってしかるべき(と彼らが思っている)投手が中継ぎをやっている」ような場合。彼ら「元プロ」たちは先発投手が7人も8人もいる必要がないこと、ブルペンの充実がチームの勝利にどれだけ貢献しているかってことをまったく考えようとしないので、こういうことを言い続ける。いい加減「先発と抑えだけが偉い」といった考え方が変わらない限り、こんな言葉はまだまだ使い続けられるだろう。
だいたいそういう人は抑えを「ストッパー」と呼ぶ。
抑えといえば、この前福岡のローカル番組で解説者新浦は先発と抑えの違いを尋ねられ
「先発は中5日とか6日とかの準備でいいんですが、抑えは毎日準備しなければいけませんからね」
なんて、小学生のうちの姪でもいえるような言葉を発してMC陣を凍りつかせていた。本人はにこにこと満足そうだったのが、見てて辛かった。なんでそんなこと話してギャラもらえるんだ。
抑えに関して、テリー伊藤はまだ水野金太郎が現役のころこういった発言をかましたことがある。
「抑えとかって毎日用意しなきゃいけないから、遊びにいけないですよね。若い投手は遊びに行きたいでしょう。で、水野はいい加減遊んだんだから水野がやりゃいいんですよ」
適性云々はおいといて新浦の言葉とテリーの言葉、どちらが面白いかと問われたら間違いなくテリーだと思うんだが、現在の解説者とか呼ばれている人たちはおおよそ新浦な言葉を使う。

という本がある。MLBを語る言葉がいかに豊潤で個性的かを伝える本だ。ただし、これは「ベースボールは言葉のスポーツ」というタイトルが相応しい。
解説者が、記者が、インタビューアーが、選手が「判で押したような」言葉ばかり発し続ける、日本の「プロ野球界」で交わされる言葉は非常に貧しい。