『十角館殺人事件』

電車の中で開いてみる。
当然「謎解き」なんぞには興味はない。
学生時代好きだった『さらば愛しき人』だって、つい最近おもしろいと思った『サマー・タイム・ブルース』も、僕はミステリーとは感じなかったから読めたんだと思う。
まずは登場人物のお互いの呼称に痒くなってきた。

玄関から向かって左側に、手前からヴァン、オルツィ、ポウ、右側にエラリイ、アガサ、カー、ルルウの順である。

しかし、考えてみれば僕だってshidehiraさんとか椣平の莫迦とか呼ばれて喜んでるんだからなあ…自分がカユくなる。
あ、ダメだ。変なトコだけきになる。
普通は

S半島J崎沖、角島の仲村清司邸、通称青屋敷が炎上(略)計四人が死体で発見された。

というとこにひっかかるんだろうが*1

「相変わらずラークか、インテリの吸う煙草じゃないな」

なんてところで増位山太志郎(現三保ケ関親方)の「そんな女のひとりごと」の
「グレーの背広にラークの煙草♪」が頭を巡り、読む気がそがれる。
いつから僕は電車で本が読めない人間になったのだろう。
先にあとがきを読む。そうか本格ミステリーってしらぬまに「絶滅」の危機になっていて、しらぬまにそこから脱していたんだ。へえ。

*1:いやここも『幽霊たち』が頭から消えてないんで「青」だけは妙にひっかかったが