「調査研究」と「参考」は違うよね。
ひさしぶりに新書を読んだ。
アメリカ側は1942(昭17)年6月のアリューシャン戦で、ウムナク島に不時着した「ゼロ戦」を一機捕獲した。これを徹底的に調査研究して、「ヘルキャット」の開発に乗り出し、「ゼロ戦」のばいにあたる2000馬力、最大時速604キロの新鋭機を作り出すのに成功した。
(I海軍と戦争 25頁)
- 作者: 池田清
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1981/11/20
- メディア: 新書
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この文章が変なのは「調査研究」とヘルキャットのスペックが並べてあることで、まるでゼロ戦を参考にしてヘルキャットが製造されたみたいに読めること。すぐ後にゼロ戦の特徴を防御力と降下性を犠牲にした軽量化なんて書いてあんだけど。
それはさておき、この本ちょっと面白かった。とにかく設立当時に比べて日露以降の帝国海軍の進歩の無さと著しい劣化が読み取れて。今回も「日露」〜「敗戦」までを日本のスタンダードにすんのってあきらかに間違いだってことの理由が一つプラス。
で、海軍との比較で陸軍が「デモクラティック」と描かれているのであるが、これは『百姓の江戸時代 (ちくま新書)』などに見られる「農村自治」の影響なのかな、とか。