猫の瞳のように気まぐれよ、She is a kitten、ニャーオ
『野性時代 第59号 62331-60 KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 60)』
(漫画専門誌の編集者と)山岸凉子とか、当時最先端を突っ走っていた作家達の話をしていたけれど、「大島弓子」という話はなかなかでなかった。理由は、その編集者が「男には大島弓子が分からない」と思っていたからだった。話が出ないから「なぜ?」とも聞かなかったが、どうも当時の女性達は「男には大島弓子が分からない」と決めつけていたらしい。
橋本治「屋根の上でひとねむり」
で、僕の場合「男には」というか「僕には」と思ってたようで、今回の吉田アミさんの文章に頭をトンカチで打たれたのである。
異国の言葉と同じで徐々に文法を学んでいけば、あるとき面白いように?分かる?瞬間が訪れるだろう。その労力を惜しんで楽しめないのではもったいない。少女に「しか」分からないのではない。努力の問題である。“分からない”のであれば“分かろう”と努力し、歩み寄ろうとすべきではないか。“分かりたい”と願うのであれば
吉田アミ「子宮で考えない大島弓子論」
そんでもって、歩み寄るきっかけがほしかった。
Iwanna be,be your CAT!
昨日母親が2時間くらいの日帰りのシーツを受けるってんで、付き添いに病院に行った。『セレクション』はちょっと重いし、雨降ってんで濡らしたくないってんで『BSマンガ夜話vol2』を持ってくことにした。
待合室の椅子の上で、もう「ウロコ」落ちまくり。
そもそも読んでいた岡崎京子の方からして「岡崎京子を読み解くための46のキーワード」に堂々「大島弓子」があったのをスルーしていたのに気づく。
(前略)岡崎が多用するモノローグの多重構造などは、純粋な少女マンガのもっとも優れた特徴のひとつである。その中でも大島弓子の影響は大きく『さらば愛しき人よ』の最終頁に大島作品『草冠の姫』のモノローグなどを手書きで引用。また、『バナナブレッドのプディング』を一部サンプリング(「3つかぞえろ」)するなど、その思い入れはさまざまなところで見受けられる。(後略)
そんでもってその後の「『くちびるから散弾銃』の夏美は大島弓子ルック」に関しては腰が抜けそうになった。大塚英志『「おたく」の精神史 1980年代論』「岡崎京子のいた場所」の
萩尾望都や大島弓子は偉大すぎるけれど、岩館真理子はもっと身近なところで岡崎たちの世代から愛読されていたまんが家だった。その正統まんが家に「一生ついていこうと思った」読者であったことが、岡崎京子の本質だった
どころの話ではなく、岡崎京子はストレートに大島弓子リスペクトを示していたわけだ。
その「大島弓子」と、「大島弓子を読み解く40のキーワード」の「デビット・ボウイとヘルムート・バーガー」と「ハッピィエンドの女王」と結びついて、僕の前に一本の道が開けたのである。
岡崎の「3つ数えろ」が収録された単行本は
私は貴兄(あなた)のオモチャなの (フィールコミックスGOLD)
- 作者: 岡崎京子
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こじつけついでに言うと1989年1月号は当然1988年に発売されおり、その年は
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そんでもって「ハッピィエンド」。
「3つ数えろ」は文字で終わっていて、
塩月弘と塩月洋子は日本中/世界中を転勤しながら3人の子供を作り上げた。その間、3人の行方不明者は発見されなかった。郊外の白い家に戻ったのは3人の子供たちが独立し、弘が定年を迎えた時だった。その家には夫婦が手入れした花や植物が健やかにいつも花を咲かせていた。
73歳で弘がガンで死に、3年後に70歳で洋子もガンで死んだ。どちらも息子や娘や孫の家族にかこまれた、穏やかな死だった。
白反転の部分を飛ばして読めばこの上ない「ハッピィエンド」。だけど、これが塩月洋子の旧姓が永田のナチュラル・ボーン・キラーズ夫婦の話の終わりだってところが岡崎京子が岡崎京子たる所以。
そんでもって巻末のあとがき対談でこんなことを言ってる
清岡卓美 「3つ数えろ」の数をカウントするところは、ソニック・ユースの曲「ブル・イン・ザ・ヘザー」ですね。しかし、センセ、つくづくS・Y好きっすね。
岡崎京子 キムちゃん大好き。?スキンク?って曲もいい。
そのキム・ゴードンがS・Yと傍らやってたのがFree Kitten。
(つづく)