ケータイ小説は『×えよドラゴン』である。
「あ、ぼく左翼ですよ。アメリカ大好きだけど」速水さんは初めて会ったときそう言った。
「なに言ってんだろう、この人」
と呆れたおぼえがある。アメリカが好きな左翼なんて聞いたことがない。
その後も拝金主義者だというし、旅人(笑)中田さんをぼろくそにコケにするし、商業主義のアイコンともいえるタイアップソングを礼賛したりと、まあまったく左翼でもなんでもないわけなのだが、とことん反体制で、常に差別されたなにかの解放に向けて闘い続けているのは確かである。タイアップソングも自分探しも今回のケータイ小説についての本も、多くの人間から支持されつつも、徹底的にインテリや年長者から軽蔑されている存在である。
文字通りのヤンキー化 速水健朗「ケータイ小説的」 - 深町秋生の序二段日記
まあ確かにこれだけ読めば「左翼」ってこと理解はしかねる。著者がタイトルの参考にしたという平岡正明や「ミュージック・マガジン」のなかむらとうようなどを例にとるまでもなく、それどころかジャーニー等を「産業ロック」と揶揄した渋谷陽一なんかと比べても、である。
ところで
このエントリーにこういうブックマークがついた。
町山さんとかは?>アメリカが好きな左翼なんて聞いたことがない
さてさて、町山智浩が左翼かどうか(参考:サブカル保守 - 映画評論家町山智浩アメリカ日記)はともかく、宝島「このミス」作家が初めての単著が洋泉社新書
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というのも(ここで「タイアップ」を、江戸時代以来の日本の誇るべき文化―ヨーロッパのようにパトロンが文化を支えてるのではないので、自ずとタイアップが生まれてきた―と捉えると、なんてハナシはパスする)FBB対談(漫談)での次の発言に注目してみればいいのだ。
ウェイン たしかに『燃えドラ』って、ストーリーはメチャクチャ出し、映画としての出来は悪い。それをバカにするのは裸の大将に向かって「バカ」って言うのと一緒。
(略)
でも左翼にとってこそ『燃えよドラゴン』は大事な映画だ。阿片戦争以降、百年以上にわたって西欧文明に踏みにじられてきたアジア文化の最初のカウンターパンチだし、日本人の中に残っていた中国蔑視の意識も変革した。しかもアメリカの黒人やメキシコ人、世界中で白人に抑圧される民族に勇気与えたんだから、もうマルクス以上の社会的意味があったんだよ。
そう考えると「ケータイ小説」は『燃えよドラゴン』(決して『萌えよ』ではないことも重要!)なのである。今「ケータイ小説」をバカにしてるのヤツは後で吠え面かいちゃうかもしれないのだ。「この作者(映画だったら監督)には"心の恋空"が欠けている」なんて罵倒語が席巻する日がくるかもしれないのだ。まあ「心のドラゴン」自体が・・・と言うのはおいといて。
そして、さらに「ケータイ小説」が革命的なのはブルース・リー不在のままに、はじめからブルース・リィやらブルース・リから始まっていることである。その意味では『燃えよドラゴン』ではなく、『×××ドラゴン』と×にすきな言葉を入れることなのかもしれない。
ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進! (洋泉社MOOK―映画秘宝)
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(つづく)
(つづき)の前に気になったこと
この本にはいくつかのマンガが引用され、「ケータイ小説」「再ヤンキー化」を生み出した重要な要素として取り上げられているのだが。
で、なぜ著者(id:gotanda6)は
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これは差別じゃないのか。