あまりにも不完全な辛苦

マリーの逆襲』(原題She Strikes Back!)はマリー・ミノーグと彼女のチームの活躍を描いた『チームM』シリーズの第一作。
まあ、あらすじはというと企業の要請でライバル企業に各種の工作を行う組織「GBH」(Global Buisiness Honor)に属していたマリーたちが、その組織の実態を知り、それに反旗を翻して戦うってな他愛のないもの、というかもうそれだけで『サイボーグ009』の志のローなパクリという気も。
そのチームの構成がマリー隊長と偵察・潜入専門のスコルツ、護衛要員で格闘のスペシャリストのジーク、元連絡担当でマリーの助言者役のポールというのは、もう何をいまさらの「キャプテン・フーチャー」からの拝借。だから、マリーはカーティス・ニュートンニュートンからキュリー夫人という連想だと推測される。たーだ、フーチャーメンとの大きな違いはこいつらが揃いも揃って役立たずなとこ。そもそも隊長のマリーからして、こんな優柔不断でミスを連発する女を、世界の支配(というより大国と大企業との癒着ばったりなだけなんだけど)を目指す大組織が工作班長に任命した理由からわからんくらいの無能っぷり、『トゥモロー・ワールド』で再び脚光を浴びたP.D. ジェイムズの『女に向かない職業』の主人公コーデリア・グレイは「あわない=unsuitable」とやたらといわれ続けながらもだんだんとなんとかJOBをものにしていくのだが、女であるとかどうとかは関係なくマリー個人が全くこの仕事が向いてないとしか思えんのだ。他のメンメンにしても、スコルツは潜入専門といえば聞こえがいいが、大事な局面ではそれ以外の場所に「潜入」しているというマヌケっぷり。かの有名なムッソリーニ救出作戦の指揮を取ったオットー・スコルツェニーの名を思いっきり汚してるとしか思えないネーミング。ギークはグラッグの持つ忠誠心なんてこれっぽっちもなく、ホントに強いのかさえよくわからず、ポールの言うことでろくな意見があったためしなんかない。たいした恋愛経験もないないくせに、恋愛の教祖づらしてた柴門ふみみたいだよ。
だもんで、読み進めていくうちに、この人たちはホントはなんと戦ってるのか?ホントはそんな組織なんかなくって、たーだこいつらの妄想なんじゃないかという気さえしてくる。だって、ロッポッギのビルの全給湯システムの温度設定を1度低くすることとか、とある官庁でゲンジ蛍を孵化させるのを未然に防ぐなんてのに何の意味があるのか全く書かれないままに、すっとこどっこいなエピソードが続くだけって・・・くだらなすぎ。
まじで作者の顔が見てーよ。