タイアップ一旦拒否

タイアップの歌謡史 (新書y)

タイアップの歌謡史 (新書y)

を読んでるんですけど、ふと思ったことを二つ、三つ・・・
まず、右の図は二代目市川團十郎外郎売」でして、『日本傑作広告』に寄れば、

二代目市川団十郎は、痰と咳の持病のため、舞台での口上に難儀することが多かった。ところが、たまたま小田原の名薬「ういろう」(透頂香とも)を服用し、難病が完治した。(略)「ういろう」の効能を舞台で述べて同病の人びとを救い、外郎家に恩を返したいと申し出た。
外郎家としては、「ういろう」施薬なので、一切宣伝しない、という家法の手前、一旦は固辞したものの、「霊薬広く世に知らせたい」という団十郎の熱意にほだされて、舞台での上演を承知した

とのこと。いやー、タイアップ一旦NGにしてます。ま、それ以上に注目すべきは、このころ(正徳から享保年間)すでにふつーに薬は宣伝するもんだったということですね。
同書の「音声広告」の章には東京の物売りの口上がたくさん載っていて、その中にはずばり「木村屋」のものがあります。

杉浦日向子の本を読んでると、この物売りのことがよくでてくることからも、我が国の歌謡史が「タイアップ」中心となるのは必然のようです。
というか江戸の場合は呉服屋が歌舞伎役者に衣装を提供する場合に錦絵に店舗の看板の前でその着物を着た姿を描かしたりしたそうなんで文化全体が「タイアップ」に馴染んでたのかもしれませんね。
↓は本文とはまったく関係ありません。