ホテル・××××

ホテル・ルワンダ』を観て、「アフリカは悲惨だな。先進国が何かアフリカのためにしてやれることはないか」と思うのは、間違っている。(略)
孤立無援のポールさんを最後まで支えたのは、愛国心でもキリスト教の教えでもなく、ホテルマンとしての、接客業としての職業倫理だった。
つまり「どんな客も差別しない」ということ。接客業では、店内に入ってきた人を、たとえ客でなくても、どんな服装をしていようと、どんな人種だろうと、基本的にお客様として取り扱うよう教育される。もちろん「他のお客様のご迷惑になる」時は出て行ってもらうこともあるが、「追い出す」のではなく「お帰りいただく」わけだ。
(「『ホテル・ルワンダ』と「帰ってきたウルトラマン」」ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記)

東アジアの一国で「ジェノサイド」があった。発端はネットでの一つの書き込み(その後全くのデマであることが分っている)で、その噂は瞬く間に国中に広まり、虐殺の火蓋は全国で同時多発的に切られた。
ホテル××××の支配人ピーーーは家族とともに自分の勤務するホテルに避難する。
保護を求めて押し寄せる人々。
ピーーーはその人々にお帰りいただいた。
「あなた方をお泊めするお部屋をご用意いたしておりません」
確かにそのホテルには傷ついた人を泊める部屋はなかったし、ピーーーは経営の効率しか「教育」されておらず、「どんな客も差別しない」なんていうのは全く別の「職業」の話でしかなかった。ホテルの前で次と殺される人々。
虐殺後、ピーーーはメディアからの質問*1にこう答えた。
「あ、すいません。みんなやってることなんで、でも、60キロの道を67キロで走るようなもんでしょ」

*1:ただ、その虐殺を煽ったのもメディアだったのに